第297話 開戦



ふぅ。

何気に久しぶりの戦いだな。

俺はアイテムボックスからシータを取り出す。


『出たー!! シーマ久しぶり。魔力くれるのー?』


いや、今日は戦いのほうだ。


『うっひょー!! 最近ご無沙汰だったからねー!! 斬りまくるよー、千人斬りだー!!』


相変わらずちょっと卑猥なほうに寄っていくよな…。

そもそも人は斬らないんだけど…。

大丈夫なのかな…。


『大丈夫、大丈夫。むしろ、ヤリすぎに注意!!』


何だそりゃ。


まぁ、いいや。

お前だけが頼りだ。

とにかく頼むぞ。


『ラジャー!!』




「よし。それじゃあクリスさん行きますか!!」


「いつでもいいよ」



俺はクリスさんの腕を掴んでテレポを連発し、あっという間に魔物達の先頭へと躍り出た。



「アイツは任せろ!!」



そう言って、すぐさまクリスさんが飛びかかって行った。

やっぱり何者かが馬に乗りながら魔物寄せで魔物達を誘導していたようだ。事情を聞こうにも既にクリスさんの手によって亡き者とされてしまったのでどうにもならない。

考えようによっては下手に生かして面倒なことになるよりは、斬り捨てておいて良かったのかもしれないな。

肝心の魔物達も急な出来事に戸惑っているようだ。

さて、この機に俺も続くか…。



「シータ、行くぞ!!」


『ラジャー!!』



俺はシータを振り回し?ながらどんどんと斬りつけていく。

フィリア王女が襲われた時やレイジと遭遇した時と同じように、レッドボアの数が多い。

身体が厚い分、一撃で致命傷を負わすのは難しいのだが、そこはさすがの神の声シータが的確に斬り裂いていく。

それでも如何せん魔物が多く、俺もクリスさんも奮闘しているのだが、徐々に押し込まれ始めてしまう。



ドンッ



突然、轟音が鳴り響いた。


魔物の群れのほぼ中心の位置だ。

円形の火の玉が爆発して、周りの魔物が全て吹き飛んでしまい、地面には軽いクレーターが出来上がった。


ノエルさんのファイアーボムだな。


凄まじい威力だ。


魔力量の多いノエルさんならではなんだろうな。

今後、ノエルさんに逆らうのはやめよう。

俺が塵にされてしまう…。



「シーマくん、今のうちに押し戻すぞ!!」


「は、はい!!」



その後も俺たちはかなりの数を斬り捨てた。

そして、ノエルさんは魔法で、シェリルは接近戦で戦ってくれたおかげで、多少は逃げ出してしまったが、それでも何とかオルティアに向けられた魔物をほぼ殲滅することが出来た。





『あーぁ、終わっちゃったー。早いよー!!』


いやいや、シータ?

早く終わらせるに越したことないじゃん!!


『全然満足してないんですけどー』


…。

そもそも、戦いに満足って必要なの?笑


『満足出来ないとムラムラするもん!!』


しょうがないな…。

まだ俺の魔力が残ってるからさ、それあげるので我慢してくれ…。


『やったー!! 早く早く!! 思いっきり搾り取ってやるんだからー!!』


シータの言葉の通り、俺の魔力はスッカラカンになるまで搾られたのだった…。






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