第296話 国境
国境に向けて進んでいると大きな橋が見えてきた。
どことなく見覚えがあるな…。
そうだ!!
エピリシアとオルティアの国境は川だったんだ!!
ロダーレのギルドで聞いた川は、国境とは言ってなかったので、おそらく別にも川があったのだろう。
んっ?
橋に向かって結構な数の魔物が押し寄せてるな。
「あれって、先頭の馬が魔物を引き連れてない?」
確かにセレナの言う通りだ。
俺の目にもそう見える。
「魔物寄せを持っておびき寄せてるんだ。おそらくオルティア側に魔物を移動させるためにね」
「エピリシアは何て酷いことをするの!!」
シェリルの言葉にフィリア王女が激高している。
「考えてみれば、この前エピリシアに入ろうとした時もオルティア側にはたくさんの魔物がいたわよね」
「あぁ。あれにはこんな仕掛けがあったんだ」
ノエルさんとクリスさんも以前の出来事と照らし合わせるように確認していた。
俺としては『狂剣のレイジ』を思い出すのが嫌だったから避けていたのに…。
あーイヤだ!!
ゾッとする!!
待てよ?
と、いうことは…
「あのさ、フィリア王女が襲われた時、あの場所も国境からそんなに離れてなかったよな? 」
「まさか…そんな…」
「分からないけどな。可能性がないとも言えない」
「…詳しく調べさせるわ!!」
「そうだな。ゼスト国王に言って調べてもらったほうがいい。場合によっては抗議や報復が必要かもしれないからな」
「そうね。クラリスの件と一緒に手紙に書いておくことにする」
よし。
ひとまずの対策はこれでいいとして、問題は今のこの状況だ。
「クリスさん、俺と一緒に魔物の群れに突っ込みませんか?」
「ハハッ!! 相変わらずシーマくんは大胆だね!!」
「すみません。テレポで連れて行けるのは1人だけなので、ここはクリスさんしかいないなって…」
「そうだね。俺が逆の立場でもシーマくんを連れていくだろうね。わかった。行こう!!」
クリスさんを残してシェリルを連れて行くパターンもアリなんだけど、基本的に魔物の行動は一方通行になることが多い。クリスさんには先陣切ってもらったほうが確実という判断だ。
あとは馬車の守りか…。
「イースさんとセレナで馬車を守って、ノエルさんとシェリルで魔物を後ろから攻撃して欲しい。出来るか?」
「問題ないです」
「大丈夫よ」
「魔法でフォローする」
「任せてよ」
みんな臆することがない。
歴戦の戦士というわけでもないのにな。
頼もしい限りだ。
「皆さんに何があっても私が治します。安心して戦って下さい」
そう。
今までの俺たちの戦いにはこれが無かったんだ。
セレナの光魔法の能力が頼りないというわけではないが、クラリスという聖女がいることの安心感は半端ない。
本当に何でも治してくれそうだもんな。
「ごめんなさい。私は戦うことが出来ないけど、オルティアのために戦ってくれたら報酬について進言します」
かなり違った意味になるけど、フィリア王女も頼りになるよな。
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