第16話 買い出し
俺の生活魔法を使ったら、朝のうちに掃除や洗濯などを済ますことが出来た。もちろんセレナにも手伝ってもらったけど若干膨れてたなー。
生活魔法のレベルの違いはしょうがない。それよりも今は早く済ませることのほうが重要だ。理解してくれてるとは思うけど、セレナはセレナで頑張ってレベルを上げるしかないのだ。
簡単な昼食を済ませたら、リーザおばさんが来てくれた。
そう、これは俺たちがお願いしたことだ。
食材などの買い出しに行くには、しばらくの間は2人で行かなければならない。2人で外出すると誰もいなくなるから、その間だけリーザおばさんたちに来てもらうことにしたのだ。
宿を出て、しばらく歩いたら市場に着いた。
顔見知りの店を中心にして、セレナを紹介しながら回っていく。コスタの街はあまり大きくないものの、王都からあまり離れてないということもあって、いろいろなものが売っている。
そこには、シーマくんの知識にとっては何でもないのものでも、守にとって価値あるものかもしれない。
料理の奥行きと幅が広がれば自由度が増す。もっとお客さんを満足させられるかもしれないんだ。鑑定を使いながら至る所を探してみる。
まずは食材というよりは調味料とソース類だろうな。この世界はその辺がまだ発達していないようだ。そこを充実させることでだいぶ変えていける。
ふと、果物屋さんの中の黄色いものに目を止める。レモと言う果物らしいが、俺からしたら紛れもなくレモンだ。鑑定でもそう出ているから間違いないだろう。
試しに1個買ってかじってみたが、思った通りの味だった。セレナは不思議そうな顔をしていたけど、ちょっとまとめ買いをしてみた。
上手くいけば、これでマヨネーズらしきものを作れる気がしたのだ。
早速、宿に戻って試作をしてみる。
卵の黄身にレモンの酸味と少し油分を加えて混ぜ合わせたら、塩と胡椒で味を整えていく。ちょっとハチミツを入れてみたりして完成?!
うーん…。マヨネーズっていうよりかは、レモンのソースって言ったほうがいいくらいレモン寄りの味になってしまったが、まぁそもそも酢がないんだから、これはこれで仕方ない。
生野菜に付けて食べてみる。
意外とイける!
隣りで物珍しそうに見ていたセレナにも1つ勧めてみる。
「えっ、美味しい! 何このソース!」
よかったー。
大丈夫そうだ。
転生前の記憶から引っ張ってきたとか言えるわけもないから、ここは適当なこと言って誤魔化しておく。
「ちょっと思い付きで作ってみたんだけど、どうかな?」
「さっぱりしてていいね、これ!」
「朝食にさ、野菜をスティックにして、このソースで食べてもらおうかと思うんだ」
「面白いね、それ! やってみようよ!」
よかった。
とりあえずは成功かな。
明日お客さん達の反応を見てから考えることにしよう。
あとは肉類だなー。
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