第272話 大丈夫
部屋に案内された俺たち。
野営の家とは違いクラリスは王女部屋に入れてもらい、俺は嫁ズと一緒になった。
だが、みんなクラリスが心配になったなのか、自然と王女部屋に集まっていた。
「みんなごめんなさい。恥ずかしい姿を見せちゃったね」
気まずい空気を感じたのか、クラリスから口を開いてくれたので、俺はそれを拾って話を繋げていくことにした。
「何があったんだ? 話せることだけでも俺たちに話してみないか?」
「うん...」
「無理しなくてもいいからな」
「ううん、大丈夫...ふぅー」
...
「あのね...私、リンダさんの病気を治せなかったの...」
...
「リンダさんはロビンさんの奥さんなんだけど、小さい頃から病弱だったらしくて、何とかならないかって言われて...グスッ」
...
「当時は聖女になりたてでね。魔法を含めていろいろと試みたんだけど、症状は変わらなかったの...グスッ」
…
「それでもリンダさんもロビンさんはとても苦しいはずなのに、私を責めるどころか『よく頑張った』って言ってくれた。私には逆にそれが辛くて...グスッ」
...
「それでいいんじゃないか?」
クラリスがその苦しみを吐き出すのが終わりそうなところを見計らって、俺が声をかけてみた。
「えっ?」
「その時は全力を尽くしたんだろ? それに対して後悔はないんだろ? そしたらもうそれ以上のことは出来ない。結果として悔しさだけが残ったかもしれないけど、それがあったからクラリスは聖女として支持されるまでになったんだよ」
「...」
「クラリスは聖女であって、神様じゃないんだ。何でも出来るわけじゃない」
(そのうちその神様に少し乗っ取られちゃうけど苦笑)
「...」
「その時その時で出来ることを悔いなく精一杯やれたなら、結果はどうあれ、その時の自分を恥じることなんて何一つないんだよ。だから、そんなに自分を責めるな」
「うぐっ...うぇーん!!」
あぁ〜号泣してしまった。
って、俺のせいか...。
しかも、俺の胸に飛び込んできた。
あぁ~みんなの視線が痛い。
って、これも俺のせいか…。
でも、しょうがなくない?
あぁ~いろいろ当たる。
クラリスって、出てるとこが出てるんだよなー。
いい匂いもするし、ヤバい。
このままだと俺じゃない俺が起きてしまいそうだ笑
「でもな、クラリス。まだ出来ることがあるかもしれない。諦めるのはまだ早いんじゃないか?」
「ゔぇ?」
俺は心を鬼にして、クラリスの両肩を掴んで俺の体から少し引き剥がして語りかけたのだが、どうしたらそんな返事になる?
「今のクラリスにしか出来ることがあるんじゃないか? 前に来た時よりも成長してるんだろ?」
「ゔん!!」
「今の全力を尽くしてみろ。俺もいるし、みんなもいる。クラリスはひとりじゃないんだ。もちろん、ルミナスだって力を貸してくれるさ!!」
コクコク×他全員
『もちろんクラリスのために私も頑張る』
「みんなぁ~ありがとう~グスッグスッ」
「大丈夫だ。自分を信じろ。きっと出来る」
「ゔん!!」
泣きすぎて可愛い顔がぐしゃぐしゃだけど、目がキラキラしてる。
もう心配いらないな。
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