第145話 偶然



アイゼンの幻陽との再会を果たした俺たちは、ヒーラに戻って早めに休むことにした。


今日だけでも初めての王都へ入り、非公式で王族と面会し、ギルドでの再会と、イベントが盛り沢山過ぎた。これで疲れないほうがおかしい。


そんなことを考えながら歩いていたら、ヒーラの前に王家の馬車が停まっているのが見えた。


イルマさんがフォルティスさんの言った通りの人だったら、王家の人が見えても不思議じゃないんだよな。


俺らが店内に入るのもどうかと思ったが、疲れもあってどこかで時間を潰すなんて考えは毛頭になく、そのまま店内を抜けて用意された2階の部屋へ向かおうと店内に入った。



「おや? 早い帰りだね」


「えっ?!」


「「「!!」」」



俺たちをテーブルに座って出迎えてくれたのはイルマさんの他にもう1人いた。



「フィリア王女様が何故ここに…」


「シーマさん達こそどうしてここに?」



そう。何故かそこにいたのはフィリア王女だった。アルテさんは馬車の中にいるのだろう。サーチにも反応があったので間違いない。



「ちょうど良かった。フィリア王女様に会いたかったんですよ!!」


「え?! 私に会いたかったって…。さっきお別れしたばかりなのに…照」


「「…はぁ」」



あれ?!

嫁ズがやれやれとため息ついてるぞ?

また何かやらかしたのか、俺は?



「おやおや、2人は知り合いなのかい? 王女様と冒険者、そんな偶然があるもんなんだねー」



おぉー。

イルマさん、グッドタイミング!!

微妙な空気になりかけてたからなー。



「イルマさん、私が先程話した護衛の冒険者というのがシーマさん達なんです」


「何と!! 王女様を助けてくれた冒険者をウチに泊めることになってたなんて…実に光栄なことだね」



おいおい、王女さん。

いったいどこまで喋ってんだよ。

立場的にもあまりあの話は口にしないほうがいいんじゃないか?



「えっ?! シーマさん達ヒーラに泊まるの? ズルーい!! 私も泊まりたーい!!」


「フィリア、無茶言うんじゃないよ。あんたも長い視察から帰ってきたばかりじゃないか。報告しなきゃいけないこともあるだろうし、ちょっとの間はお城でじっとしてな」


「チェー、つまんないのー。」



そういえば、2人とも随分と親しげだな。知り合って長いのかなー。

そもそもこの2人はどんな関係なんだ?




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