第144話 マジックバッグの中身



「ところで、シーマ達は王都のどの宿に泊まってるんだ?」



まるで話を変えたかったかのように、フォルティスさんが俺たちの宿泊先を聞いてきた。



「宿ではないんですが、『ヒーラ』ってお店に今日から泊まることになってますけど」


「マジか! 『ヒーラ』ってイルマばあさんの店だろ。何でまたそんなところに泊まることになったんだ? っていうかよくそんな話になったな!」


「お店が気になって中に入り、薬草について話していたら意気投合した感じですかね…」


「何だそりゃ。お前らは知らんだろが、イルマばあさんは薬草と花の知識は王都で一番だからな。そんなことも知らずに、相変わらず面白いことやってんなシーマは笑」


「すみません。でも『ヒーラ』では新しい何かが掴めるような気がしてるんですよね…」


「それもお前らしくていいんじゃないか? そのうちポーション作ってたりしてな笑笑」



はっきり言ってそれも無くはないんだよなー。

やっぱり薬草を扱う上でポーションを知る必要があるんだよな。

どうなるか分からないけど、やってみなければ何も始まらないんだ。





「そうだ。フォルティスさんにお願いがあるんですけど」


「何だシーマ」


「マジックバッグにある魔物について書き出しておいて欲しいんですよ。料理するにも何が入っているのか知っておく必要があるので…」


「それならもう書き出してあるぞ」


「早っ!!」



おーっと、ここでまさかのオルテガさん登場かー。

たぶんこうなることを予想してて、予め書き出しておいてくれたんだろうな。

オルテガさん恐るべし。



「えーっと、扱ったことのないものは…ワイバーンとポイズンスネークくらいですけどスゴいですね、この数は」


「まぁそうだろうよ。何たってこのマジックバッグを手に入れてから、魔物は買い取りにたったの1つも出してないからな!」



いや、勝ち誇りたい気持ちは分からないでもないけど、結局は自分たちが食べたいだけじゃん?

言いたいけど言えない💦



「これだけの量になると、調理方法はもちろん、どうやってお出しするのかも考えないといけないので少し時間をいただきたいですね。それで構いませんか?」


「あぁ、こっちは食べるだけだからな。急に決まらない限りは大丈夫だ。むしろ、いいモノを作るための準備ならたっぷりしてもらっていいぞ」



よし。

少しは時間を稼げそうだな。

俺はもっともらしいことを言ったが、本音としては、すぐにでもフィリア王女に会って、アイゼンの幻陽に対して俺の秘密をどこまで明かしていいのかを確認して、それから調理をしたいんだよな。

現状では、何でもかんでもアイテムボックスに入れる訳にもいかないからいろいろと不便なんだよな…。



まずはフィリア王女に会わないと…。



ん?


あれ?


王女のアポってどう取ればいいんだろ笑




今さら気付くとは…。


別れる前に聞いておくんだったな苦笑




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