第36話 パーティー
さらに翌日。
ガンマさんとリーザさん、アイゼンの幻陽の3人に加えて、エリシオンの2人も呼んでパーティーをすることになった。
エリシオンの2人にもお世話になったので呼びたいという俺とセレナの意向が反映された形だ。
実際に声をかけたのはセレナだが、宿屋の休業についてはそこそこに、結婚についてかなりノエルさんからの質問攻めにあったらしい。クリスさん頑張って!
今日出す料理は、もはや定番になりつつある塩唐揚げとフレンチトーストなどといったところだ。
今までの感謝の気持ちを示したいところだが、昨日の今日なのでこの辺が精一杯なのである程度は我慢していただくことにした。
昼から準備したのにも関わらず、人数が人数なので夕方頃までかかり、あっという間に時間が来てしまった。
こんな時だから仕方ないが、みんな早めに食堂に集まってた。どんだけ食べたいんだろう。足りるかなー?
「明日からこの精龍亭は2年間休業させていただくことになりました。今日はお世話になった皆さんへの感謝を込めた料理を作りましたので、たくさん食べてってください。それでは乾杯!」
俺の挨拶で乾杯をした後、みんなで一心不乱に料理を貪り始めた。
普通こういったパーティーは和やかに進むものだが、今は違う。
料理を無言で奪い合う、戦場だ。
果たしてこれでいいのだろうか?
「フォルティスさん達はこれからどうするんですか?」
あまりの無言に耐えきれなかった俺が静寂をぶち破ってみた。
「おう、俺らか? アイゼンから帰って来いってずっと言われてたからな。アイゼンへ行った後でダンジョン都市だ。目標も出来たし久しぶりに気合いが入ってるところだ」
「目標ってダンジョン踏破ですか?」
「踏破出来るに越したことはないが、マジックバッグを手に入れることが最優先だ。しかも時間停止機能付きのやつな」
「今もマジックバッグ持ってませんでしたっけ?」
「あるにはあるが、時間停止機能は付いてないからな。もしそれを手に入れればシーマの料理がいつでも出来たてで食べられる。最高だろ?」
「…」
「しかもこれは、珍しく3人で一致した意見だからな。何としてでも手に入れてやる」
まさかとは思ったが、Aランク冒険者がそんな理由でマジックバッグを欲しがるなんてな…。アイテムボックスのスキルを話したらマジで拉致られそうだ。
話を逸らすためにクリスさんにも同じ事を聞いてみた。
「クリスさんたちはどうするんですか?」
「僕達の実力では、時間停止機能付きを狙いに行けないから、普通のマジックバッグを探してみるよ。」
「…」
いやいや、あんた達もマジックバッグかよ。ノエルさんもうんうんって頷いてるし…。もう驚きを通り越して笑えてくるな。
「シーマ達はどうするんだ? 俺達に付いてきてもいいんだぞ?」
「いや、シーマくん。僕達と一緒でも構わないよ?」
フォルティスさんとクリスさんはそう言うが、俺というよりは料理目当てじゃん! 確かに料理は大事だけどさ。
「まだはっきりと決めたわけではないのですが、まずはこの辺で大きい街のグランツに行ってみようかと思ってます」
「何でグランツなんだ?」
「流通都市と言われてるグランツに何があるのか見てみたいのと、その街で繁盛してる宿屋に泊まってみたいんです」
「なるほどな。目的は冒険だけじゃないってことか。いい心がけだ。頑張れよ! 何かあったら冒険者ギルド経由で連絡して来い」
「ありがとうございます。フォルティスさん達も気を付けて」
お世話になった人達への感謝を込めたパーティーも無事に終わることが出来た。
途中からは女性陣が固まって、いつもの女子会になってたが。。
今日が終わったからといって
ゆっくりはしていられない。
冒険出来る時間は限られてるんだ。
早速明日から準備して
早めに出発しないとな。
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