第103話 ジェラシる



「シーマ、こっちに来て座りなさい」


「ほらっ、早く!」



宿の部屋に戻ってくるなり、嫁ズに捕まって座らされた。床に正座ってやつだ。

セレナはアイテムボックスから遮音の魔道具を出してスイッチを入れた。



「さっきのアレは何なの?」


「アレとはいっ「アイラとの料理のことよ!」たい...」



はい。そうですよね。

セレナさんがかなりご立腹です。



「優しく教えるつもりだったんですが、やり過ぎてしまったようで...」


「そうだね。ボクが見てもちょっと辛かったよ」



ゲッ! シェリルもか。

マズイな。これはマズイぞー。



「シーマはね、前から思わせぶりな態度が多いのよ」


「まぁ、ボクもそれにやられちゃったクチだからねー。あまり強くは言えないけど、アイラはボクの友達だから優しくするのはしょうがないけど、他の人にはして欲しくないかな」


「...善処します」


「これから王都に行くことになるし、さらに強くなるには旅も続けなきゃならないでしょ。行く先々で嫁を増やされても困るのよ」


「まぁまぁセレナ、それはちょっと...。グランツに来なければボクとの出会いもなかったんだしさ」


「それはそうなんだけど、このまま嫁が増え続けたら精龍亭だけで養っていけるの?」



確かにその通りだ。

セレナは結構溜まってたんだな。

悪いことしたな。

本当に反省して今後は気をつけないと。



「すみません。そこまでは考えてませんでした。もう少し考えて行動するようにします」


「本当に分かったの?」


「はい」


「じゃあこの話はお終い...って言いたいところなんだけど無理なのよ。何でか分かる?」


「いや、全く」


「私たちはさっき不安な思いを抱えてたの。分かるわよね?」


「はい。それはまぁ」




「じゃあ、それをかき消すくらい私たちを愛して」




「えっ?!」


「ボクたちは3人で幸せになるんでしょ?」


「わかった。そうだったな...」




この夜、

俺たちは寝ることなく愛し合った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る