第3章 冒険 -グランツ編-

第41話 旅路



コスタからグランツまでは馬車で3日ほどの距離がある。

道中に宿泊できる村がいくつもあることもあって、俺たちは狩りをしながら歩いて進むことにした。

結局のところ、強くなるためには戦うしかないのだ。


当面の方針としてはセレナの水魔法と俺の剣を強化することになる。

短所を補うよりもまずは長所を伸ばしていこうという考え方だ。


素材になりそうな魔物とかはアイテムボックスに入れられるので、言ってしまえば狩り放題だ。

とは言え、俺たちは所詮Eランク。

狩れる魔物なんてたかが知れてる。

ゴブリンやホーンラビット、頑張ってオークくらいな感じだろう。



だが、いざ街を出て魔物と戦ってみると

ちょっと事情が違った。



事前にサーチの魔法で感知したゴブリン10体と対峙する。


『ゴブゴブ!』『ブッ!』


「よし、セレナ今だ!」


「うん。ウォーターバレット!」


『ギャッ!』『ギッ!』


よし、セレナの魔法だけで2体倒した。

すかさず俺が剣で接近戦を仕掛けていく。振り回してくる棍棒を交わしながら剣で横薙ぎしつつ、別のゴブリンを下から突き上げる。その後も難なく倒し続けて、気がつけばセレナも2発めの魔法でさらに2体倒しており、あっという間に戦闘が終了してしまった。



やっぱり気のせいじゃない。


俺の剣が思いの他、冴えている。



旅立ちに際し、俺はフォルティスさんから剣を戴いた。そこそこの代物だと思うし「切れ」はいいが、どちらかと言うと俺自身が「キレ」ている。


以前に比べて魔物の動きがよく見えるし、多数に囲まれても冷静に判断することが出来ている。


それは何故か。


答えは夕方の模擬戦だろうな。


Aランク剣士のフォルティスさんと、Dランクだけどそれを凌駕する実力のクリスさんと毎日のように模擬戦してれば否応なしに強くなるわな。実際に剣のレベルも2に上がったし。


それでもここまで実感として変わっているとは思わなかった。今のいままでそれが分からなかったってことは、それだけ俺とあの人達とでは簡単には埋まらない差があるってことなんだろう。悔しいことではあるが仕方がない。



------今度会う時までには必ず強くなってやる。



ゴブリンには素材になるものがないので、討伐証明部位である右耳を切り取って、胸の辺りにある魔石を抉り取ったら焼却してしまうのが一般的だ。

討伐証明部位を冒険者ギルドに出せば討伐報酬がもらえるし、魔石も売ることが出来るが自分で魔力を込めれば魔道具の燃料にもなる。ゴブリンの死体はそのままにしておくと、血の匂いが他の魔物を呼び寄せてしまうのである。

さすがにセレナにやらせる訳にもいかないので俺がさっさと耳と魔石を取って火魔法で燃やしておいた。


何だか本当に冒険者に戻った気がしてきたな。



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