第257話 何のために?



あちゃー。

クラリスと一緒に来ることになるとは思ってなかったなー。

っていうか、エルピスはどういうつもりで呼んだんだろう。

一応、いつもは心の中で会話するけど、今日は喋る形にしよう。



「クラリス、無事に助けてもらってよかったですね」


「はい。全てはエルピス様とシーマさんのおかげです。本当にありがとうございました」


「いえいえ、もう少し準備に時間がかかりそうですが、契約のことはよろしくお願いしますね」


「えっ、契約って何ですか? 俺、何も知らないですけど」


「えっ、そうなんですか? 週に1度、エルピス様が私のカラダを乗っ取ることになってますけど…」





「はぁ?! エルピス様? いいや、エルピス!! 何してくれてんだ!!」


「ちょっとシーマくん、これには深い理由が…」


「言ってみろよ!!」


「クラリスのカラダを借りて、シーマくんとイチャイチャしたいなーって…」


「そんなことのために…。クラリスの気持ちはどうでもいいのかよ!! クラリスが本当の意味で許可するまで俺は認めないからな!!」


「えっ?! 私は構いませんけど」


「はい?! いいの? 自分が知らない間にカラダをいろいろ動かされちゃうんだぞ?」


「はい。今の急なクラリス呼びにきゅんとしちゃいました。そして、その…初めての夜はエルピス様の時じゃなくて、私の時でお願いしたいです」


「…」


「しょうがないわね。初めては譲ってあげるわ」


「何でエルピスが答えてるんだよ!! しかも借りる分際で上から目線だし!!」


「だって許可が出たから…」


「っていうかそもそもの話、俺がナニするのは無理なんですけど」


「「何で!!」」


「だって、婚約してるわけじゃないしね。セレナやシェリルはもちろん、フィリア王女だって黙ってないんじゃないかな?」


「確かにそれもそうですね…。わかりました。私が時間をかけて婚約者の座を獲得してみせます!!」


「諦めてはくれないんだ…」


「何で諦めるんですか? 逆に聞きますけど、シーマさんはこのカラダを抱きたいとは思わないんですか? この大きいおっぱいを揉んでみたいとは思わないんですか?」


「クッ…抱きたいです!! おっぱいも揉みまくりたいです!!」


「そうでしょう、そうでしょう。じゃあ私と結婚して下さい」


「は…いかん、ダメだ!! みんなの許可を得ないと…。何なんだこの展開は!! 俺が主導権を得たはずなのに、いつの間にかクラリスに持っていかれてしまった」


「チッ、もう少しだったのに…」


「クラリスは本当に聖女なのか?」



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