第233話 レプリカ
「シーマ、この杖どうするの?」
店を出るなりセレナが俺に聞いてきた。
「本物とすり替えるのさ」
「「!!」」
「すぐに偽物とバレるかもしれないけど、少しだけ時間が稼げればいいんだ」
「魔石はどうするの?」
「俺たちが毎日魔力を込めた魔石があるだろ?」
そう言って俺はアイテムボックスから青い魔石を取り出して見せる。
「「あっ!!」」
「ほら、この青い魔石をはめれば、聖女の杖の出来上がり〜」
「...でもさ、これを本物とどうすり替えるの?」
「そこは俺とシェリルにしか出来ないところなんだ。
俺たちは隠密でエデナさんに近づく。急に現れたシェリルとぶつかってエデナさんは杖を落とす。それを俺が拾う振りして偽物とすり替えて手渡す。そんな感じだね」
「「おー!!」」
よかった。
2人も納得してくれたみたいだ。
「それにしても、よくもまぁ...こんなことが思い付くよね」
「ボクもそう思う」
ん?
何だか微妙な空気になってないか?
「私たちの夫がこんな騙し討ちしてていいのかなって...」
「それ。ボクも思ってた」
...。
ヤバいな。
「ほ、ほら、聖女の杖を取り返すためだからさ、悪いことした人に対してはしょうがないでしょ?」
「杖のことはまだわかるわ。シスターに見せた書簡のことよ」
「あれ、全然違う内容の書簡だよね? ボクでもあそこまでのハッタリは難しいよ」
「...あ、あれは聖女の情報を得るために...」
「それもわかってるわ。わかってるけど...」
「ボクたちの夫として、人を騙すような方法以外はなかったのかなって...」
あちゃー。
そこまで気が回らなかった!
ひたすら謝るしかないなー!!
「ごめんなさい。2人の夫としての立場を忘れて、なりふり構わずやってしまいました」
「そうね。それでシーマはどうやって私たちに詫びてくれるのかしら?」
「ボクだち、最近夜のほうが寂しいんだよねー」
「わかりました。満足するまで頑張ります」
まぁ確かに最近ご無沙汰か...。
俺が気付いてあげないといけないよな。
どうやら今日はアノ薬が必要そうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます