第292話 クラリス死す?
「クラリス、いっそのこと死んでみる?」
「えっ?!」
「何言ってるのよシーマ!! 言っていい事と悪い事が…」
「もちろん、本当に死ぬわけじゃない」
「…と、当然よ!!」
俺の急な提案に対して、フィリア王女が急に激高し出したので俺も急いで話を進めることにした。
それにしてもやっぱりフィリア王女は友達思いだな。
「どういうことですか?」
「死亡説を流すのさ」
「「「「「「「!!」」」」」」」
「狙いこうだ。この先にロダーレっていう国境の街があるんだろ? そこの教会でまずアンナさんへこれからの計画を書いた手紙を渡す。そして、国境付近の川か崖の近くにでも、血を付けたクラリスの衣装、そして杖と一緒に遺書も置いておいて、俺たちがフィデールに入ったら聖女が亡くなったってデマを流すんだ」
「「「「「「「…」」」」」」」
「デマが伝わる頃にはアンナさんがクラリス派の人達をどうにかしてるだろう…って、まぁこんな感じかな…んっ? みんなどうした、そんな怪訝な顔して?」
「よくもまぁ、そんなことがすぐに思い付くのかと思ってたのよ!!」
「シーマって時々人格疑いたくなる時があるよね…」
フィリア王女にはブチギレされ、シェリルには疑惑の目を向けられた。悲しいことに他からも同様のようだ。
「それだったら、最後はエルピス様に聖女の死を教会に告げてもらったほうが確実じゃないですか?」
「クラリス、何であなたが積極的に自分を殺しにいってるのよ!!」
「だって、面白そうじゃないですか!!」
「「「「「「「…」」」」」」」
いや、クラリス、それはちょっと違うぞ。
面白いとかそういう問題じゃない。
ちょっとした国家の一大事だからな。
「まぁでも、エルピス様に頼むっていうのもアリかもしれないな」
「ちょっと、シーマさんまで…」
「より確実にこの作戦を成功させたいなら、それが一番間違いないんだよね」
「そもそも、エルピス様が私たちの頼みなんて聞いてくれるの?」
「何とかなるんじゃないかな…」
フィリア王女がすかさず確認してきたが、おそらく俺とクラリスの頼みなら、よっぽどのことがない限り聞いてくれるだろう。
なんせあのお方はかなり酷いことをしようと企んでるからな。
その辺も上手くまとめないといけないんだよな。せめてクラリスが納得出来るような形にしないととてもじゃないが認められない。
まぁ、それはそれとして、今は計画に沿って動き出さないとな。
「反対意見がないようならこれで進めることにするけどいいかな?仮に失敗してもクラリスに何かあるわけじゃないから、それについては安心してくれて構わない」
コクコク×人数分
「よし、決定だ。まずはクラリス、アンナさん宛の手紙と、言いにくいんだが偽の遺書をしたためておいてくれ」
「分かりました」
「シェリル、ロダーレ近くに川か崖があるかわかるか?」
「確か、少し大きめな川があった気がするけど…」
「そうか。一応、ロダーレのギルドで聞いてみることにしよう」
「わかった」
フィデールまでの時間を考えたら、ロダーレに長居は出来ないな。
武器屋に行って、捨てる用の杖も買うしかないし、ギルドに教会、やらなきゃいけないことが多い。
失敗しても問題ないとはいえ、結構厳しいスケジュールだ。
本当に出来るのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます