第119話 ごまかし
「ねぇ、ちゃんと答えて。何で私がエルピス様を強く信仰してるって知ってるの?」
参ったなー。
どう答えればいいのかな。
ダメ元でエルピスに聞いてみるか。
『 …』
心の中でエルピスに祈りを捧げた。
「シーマくんも余計なことを言ってしまいましたね」
おー、目を開けるとエルピスがいた。
やっぱりそうなのか。
エルピス、ごめんなさい。
「そんなに素直に謝れるとこっちが何も言えなくなっちゃいます。それよりもこの状況をどうするかですよね。彼女が全部知ってしまうにはまだ早いし」
ん?
まだ早いってことは、いずれ知ることになるってことなのか?
「まぁ、そうですね」
えー。重要なことを軽く言うなー。
「分かりました。この状況を乗り切る策を授けましょう。ハンバーグで手を打ちますね」
この女神、最初からハンバーグが狙いだったんじゃないのか?
「そ、そんなことないですよー」
超絶怪しいけどわかりましたよ。
アイテムボックスからハンバーグを1皿出してエルピスに差し出す。
「モグモグ…まぁ、とりあえずは誤魔化しておいて下さい。私の像でも出して『 そんな気がしただけだよ』とでも言っておけば大丈夫です…モグモグ」
…。
ホントかよ。
ハンバーグ目当てにテキトーなこと言ってないか?
「モグモグ…私を信じて下さい。大丈夫ですから…モグモグ」
…。
「モグモグ…それでは時間なので。また何か作ってきて下さいね…モグモグ」
まぁエルピスには散々お世話になってるから料理を作ることは構わないんだけど、だんだん女神キャラが崩れていってるような気がしないでもない。
とりあえず戻るか…。
気が付くとフィリア王女と目が合った。
そうだ、早く答えないといけないんだったな。
確かアイテムボックスから像を出して…。
「そんな気がしただけだよ」
これでいいんだったよな?
ビクビクしながらフィリア王女の反応を待ってると、
「それってエルピス様の女神像よね。今まで見た中でも1番美しいかもしれない。まぁいいわ。あまり深くは聞かないことにする。そんなものまで持ってるなんて、あなたってホントに謎なのね笑」
フィリア王女はそう言い残して、セレナとシェリルのいる部屋へ戻っていった。
何とか誤魔化せたけど、さっきの言い方からすると何かあるのは勘づかれたかもしれない。
その辺りはさすがに王女様だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます