第284話 余韻
「あー、美味しかったー」
「ホントでしゅ」
おいおい。
イメージが一番大事な王女と聖女が食卓で大きな伸びをするんじゃないよ。
「かなり久しぶりだったけど、魚もいいわね」
「しかもシーマが料理してくれてるしね」
「「それそれ」」
嫁ズの言葉に、王聖女が頷いている。
喜んでくれたのなら、まぁ良かったのかな?
「ところでシーマ、明日も市場に行くの?」
「そうだな。みんなが喜んでくれた食材ならある程度買っておきたいな。また食べたくなるだろうし、俺にとっても料理の幅が拡がるもんな。シェリルはどうするんだ?」
買い付けるのか気になってたんだろう、シェリルが俺に聞いてきたので、俺はみんなの感想を踏まえた上で率直に答えた。
「うーん…。シーマが買うんだったら私のほうは遠慮しようかな。フィデールで会長に相談してから考えるよ」
「そっか。でも、明日市場には一緒に来てくれるよな?」
「えっ?! まぁ別に構わないけど、何で?」
「何でって…シェリルがいないと不安じゃん…」
「「「!!」」」
「も、もうー、シーマったら❤」
ギリギリギリ…
ギシギシギシ…
グググッ
んっ?
ヤバい!!
セレナと王聖女の歯ぎしりが、歯ぎしりの域を越えてるぞ。
どうする?
自分で蒔いた種とはいえ、
これをキレイに刈り取るのは至難の技だ。
「ほらほら、みんなそんなにガツガツしないの。シーマくんが困ってるでしょー。今回はたまたまシェリルちゃんの番なだけよ。自分の番がくるまでしっかりと自分を磨いていけばいいのよー」
「「「…はーい」」」
スゲー!!
リンダさんが一言でみんなを納得させちゃったよ。
さすが年の功。
よく見えてるし、対処が的確だ。
「よしよし。いい子たちねー。それじゃ私は部屋に戻ってるわね」
ゆっくりとリンダさんが席を立って部屋に向かうべく、俺がいるほうに向かって歩いてきて、俺の横を通り過ぎたところで立ち止まった。
「1つ貸しにしておくわね。何を食べさせてもらおうかしら。うふふ…」
俺に囁くように告げて、リンダさんは去っていった。
あー、前言撤回。
本当の狙いはこれだったか…。
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