第220話 シータ
さっきまでボロボロだった刀が、今では何でも切れそうなくらいにピカピカだ。
何でだ?
『それは今の主に出会うまで、魔力をもらってなかったからだよ』
でも、魔力を持った人なんてたくさんいるじゃん?
『刀心(かたなごころ)がわかってないなー。誰の魔力でもいいって訳じゃないの。相性ってものがあるのよ。わ・か・るでしょ?』
確かに。
嫁ズとの夜も、カラダの相性がいいから気持ちいい…って何を言わせてんだ!!
『やっぱりエロエロだー笑』
もういい。
否定しない。
『その開き直りもいいねー。ますます気に入っちゃった!! 早速、チャチャっと魔物を片付けちゃおうー!!』
おっと、そうだった。
魔物がいたんだった。
って、げッ!あれはキラーラビットじゃねぇか。
面倒臭いやつが来たな…。
3頭か。
『大丈夫。あたしがいれば余裕だよ』
そう思いたいのはやまやまだけど、すばしっこいからな…。
『最初は慣れないだろうから、黙って両手であたしを握ってて。それだけでいいから!!』
マジか。
出会ったばかりの刀の力を信じ切れないと出来ない芸当だな。
どうする?
迷ってる暇はないな。
わかった。
任せるよ。
『信じてくれてありがとー。それじゃぁ、行くよ!!』
その声が聞こえたと思ったら、急に刀に腕を引っ張られた。
体のバランスを崩しそうになるのを堪えながら、何とかして食らいついていく。
俺の体が今までとは桁違いのスピードで知らない動きをして、あんなに苦戦していたキラーラビットを容易く蹴散らしていく。
そして、気が付いた時には戦いが終わっていた。
『どう? ちょっとはあたしのこと信用してくれた?』
あぁ。
いろいろと慣れるまでにはまだまだ時間がかかりそうだけどな苦笑
『きっと主ならすぐに慣れてくれるよ』
そうかな?
自信ねぇーなー苦笑
それと、主って言うのやめない?
俺はシーマ。
そう呼んでくれ。
『シーマ…。これからも魔力をよろしくね!!』
おう。
『ねぇねぇシーマ、あたしにも名前付けてよ!!』
あっ、そうか。
っていうか、名前ないのか?
魔剣なんちゃらとか…。
『相変わらずわかってないなー。 主であるシーマに名前をもらうことに意味があるんだよ』
ふぅーん。
そういうものなのかな…。
それじゃあさ、
「シータ」ってどう?
『イイ!! 良すぎてイッちゃいそうー』
決まりだな。
ん?
刀ってイクのか?笑
『ねぇねぇシーマ、何でシータって名前にしたのか聞いてもいい?』
あぁ。
大した意味はないんだけど、これから俺の一番近くで戦うことになるだろ?
だから、俺と近い名前がいいかなって…
『あーん。ダメよ、そんな事言われたらもっと好きになっちゃうじゃん!! 』
「…」
まぁ、刀だしな。
人間じゃなければ問題ないか笑
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