第270話 ひとりじゃない



「シーマさん、サザンベールで泊まるところは決まってるの?」



化粧水騒動が落ち着いて、みんなでまったりとお茶を楽しんでいたら、クラリスが俺に聞いてきた。



「俺たちはサザンベール自体が初めてだからね。当然何も決まってないよ。むしろクラリスに教えてもらいたいくらいだ。どこか知ってる宿があるの?」


「うん...。でもね、もしかしたら少し嫌な思いをするかもしれない。それでもいい?」


「どうやら何か理由がありそうな感じだな」


「......私なりのケジメをつけに行きたいの」


「そっか...わかったよ。みんなもそれでいいか?」


「いいわよ、別に」


「クラリスも仲間だもんね」



コクコク×3



フィリア王女とセレナが返事をし、他の人はそれに対して頷いてくれた。



「ありがとう、みんな。でも、迷惑かけたらごめんなさい」


「全然迷惑じゃないだろ。そんなこと言ったら何にも知らずに貴族されちゃったことのほうが...」


「お父さんに言いつけるわよ!!」


「嘘......です。国王様に言いつけないで下さい」


「「「「「笑笑」」」」」



まぁわかってた展開ではあるけど、話の内容に踏み込むよりは、ちょっと逸らして笑いを取りにいった。

どうやら上手くいったようだ。



「それにしても、本当にこのメンバーといるのは楽しいです」


「そお? 私はもう慣れちゃったかな。もちろんクラリス、あなたも含めてね」


「フィリア...」


「そうそう。このままずっとみんなで一緒にいればいいんだよ」


「うんうん」


「セレナもシェリルもありがとう」


「私たちがここにいる理由は、セレナちゃんたちとちょっと違うけど、心は一緒のつもりだよ」


「だね」


「私も同じ気持ちです」


「ノエルさん...クリスさんにイースさんも...」


「クラリスわかっただろ。もう俺たちは仲間だ。これからもな」


「ずっと一緒にいられるの?」


「クラリスが望むならな」








「シーマさん、ありがとう。私、シーマさんの良いお嫁さんになります!!」


「「「へっ?!」」」


「何で、この流れでお嫁さんになるのよ!!」


「だって、男からずっと一緒にって言われたら、結婚ってことでしょ?」


「「あちゃー」」



あーあ。

嫁ズが呆れ出してるよー。



「私より先なんて絶対許さないからね!!」


「そんなの知りませーん。言われたもの勝ちでーす!!」


「キィーーー!!」



ハハハッ

フィリア王女がキレた笑


それよりも

俺、詰んじゃったのかな?





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