第315話 それぞれの仕事



しばらくフィデールから動かないことを決めたからには、この機会に出来ることをやっておきたい。


とりあえず、先程言ってしまった以上、俺はクリスさんに元気が出るような料理を作らねばならない。今後のことを考えて俺の料理を覚えてもらうためにイースさんも一緒になって作ることにした。


セレナはロナルドさんに頼まれたポーション作り始めた。

シェリルはエピリシアで買い付けたものを早速フィデールで卸すべく市場へと向かった。

表立って動けないフィリア王女は紙に何かを書いてる。書面かな? 余計なことをかいてなきゃいいけど...。


クリスとノエルさんは当然とばかりに狩りに出掛けた。家でじっとしていられるタイプじゃないもんな。それは仕方ない。


そして、クラリス。

彼女は「自分も何かの役に立ちたい」と言って『聖水』とやらを作るつもりらしい。聖水ってアレのことじゃないよな?笑





さて、俺はというと、

元気が出る料理ということなんだが、何を作ればいいのか考え中だ。


以前にレオンさんに頼まれて作った「ペペロンチーニ」は聞くところによると、グランツを中心に流行り出し、当然フィデールにもその人気は届いているとのことだ。

勝手知ったるペペロンチーニだが、一応は作っておくか...。


その他にもあと何品か...とは思うけど、オークの睾丸を直接ぶち込むわけにもいかないから、やはりにんにくに頼るしかない。

バクダンは決定として、あとはカニだ。この世界ではクラブと言うらしいが、甲殻類で精がつくことは前の世界の知識で知っているからな。塩ゆでした後、必要に応じてにんにく魚醤でいただけば間違いないはずだ。

そして、ゆで汁を使ってたまごスープでも作っておくか。食べ残した殻も取っておけば後で煮詰めて出汁が取れる。そういう部分で言えば、余すことなく使えるというのはデカいな。出汁文化がないこの世界ならなおさらだ。



「???」



俺の作業を見守りつつ手伝ってもくれるイースさんは、俺の作業の意味があまり分かってないため所々で困惑しているいるようだが、それも経験だ。慣れてもらうしかない笑





料理が一段落してリビングに行くと、セレナがポーション作りを、クラリスは聖水作りをしていた。

ポーション作りはイルマさんのところで見慣れたもんだが、聖水ってどうやって作るんだろ?


んっ?


あれっ?


そう言えば、クラリスも俺と婚約してイチャコラしたから、共有スキルを使えるんじゃないか?


鑑定でクラリスのスキルを覗いてみるか…。




・クラリス•••人間

・年齢•••16歳(婚約中)

・職業•••元聖女

・スキル•••光魔法Lv.5、生活魔法Lv.1、調合Lv.3、性技Lv.3

・スキル共有中



ほぅ…。


やっぱりスキル共有されてるな…。


元とはいえ、やはり聖女だけあって光魔法や調合のレベルが高いなー。


はぁ?

昨日初夜を迎えたばかりなのに、性技のレベルが3ってどゆこと?


確かにいろいろとスゴかったけどさ。

今までどんな生活送ってきたら、そうなるんだろ…。

かなりの謎なんだけど突っ込んでは聞きにくいよな。何だかヤブヘビになるような気もするし苦笑


とりあえず、何も見なかったことにしよう…。


それしかない。







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