第83話 BJ



「フフフン♪ フフン♪ フーン♪」



シュッ!! シュッ!! シュッ!!



「ブモッ」「グオッ」


「ねぇシーマ、セレナが...鼻歌を歌いながら楽しそうに弓を引いてるんだけど...」


「…」



あまりに衝撃的な光景で言葉も出ない。

あのセレナが...バトルジャンキーと化してしまったのか...?

オーク2体が見えた瞬間、ランランとして弓を引き出したんだけど...。

もしかして、シンシアさんに似てしまったのかな...。



あっ、オーク倒しちゃったよ。



「あっ、弓術のスキルが発現したって!」


「「…」」


「シーマ、私の弓はどうだった?」


「う、うん。よかったんじゃないかな。なぁ、シェリル?」


「そ、そうよね。セレナには弓の素質があったんじゃないかな!」


「ありがとう。これからも弓でパーティーを支えられるように頑張る」


「そうだね。でも魔法もいろいろ使ってレベルを上げような」


「うん。分かってる」



さりげなく魔法も使うように言ってみたけど、遠距離攻撃としての弓は魅力的だ。そうなんだけど...まぁいいか。考えるのはやめて、セレナに任せることにしよう。

それよりも今はオークだ。

というより睾丸だ。



「2人共、悪いけどここでオークを解体させてくれ」


「別に構わないけど、どうしたの?」


「ちょっと睾丸をね」


「「えぇ〜?!」」


「だから、こっちは見ないでくれ笑」


「「当たり前よ」」



俺はすぐさまオークから睾丸を取り出して鑑定する。



【オークの睾丸】

薬の原料(乾燥後に潰す)

効果⋯妊娠しやすくなる他、精力剤にも



おー、精力剤にもなるんじゃん!

とりあえずはそれっぽいものをゲット出来たので安心した。

アイテムボックス内では時間が経過しないから、馬車の後ろのほうにでも吊るして乾燥させておくかー。

でも、料理に使おうとするともっと数が欲しいな。オークをもっと狩らないとな。


「セレナ、シェリル。オークの睾丸は精力剤にもなるようだ。だから出来る限りの数を確保しておきたい。多少時間がかかっても構わないから、これからもオークはガンガン狩ってくれ」


「「わかった」」



その後も俺たち...というかセレナがオークをメインに狩って行き、フィデールに着く頃には10体分の睾丸が手に入った。



だが、その道中に休憩していると、馬車の馬がやたらと後ろを気にするような仕草を見せるようになった。

ツナギの部分を外してあげると、すぐさま箱の後ろへ回って、乾燥中の睾丸に興味を示していた。



「⋯」



いやいや、お前にあげるわけには...。

だいたい食べられるのかよ…。


そんな俺の気持ちに気付いたのか、馬は俺に近付いてきて顔をスリスリしてきた。



「何、シーマ? ウチの馬にまで好かれてんの?」


「えっ?! そうなの?」


「スリスリするのは甘えてる証拠よ」


「興味があるのはオークの睾丸のようなんだけどな...」


「そうなんだー。それでどうするの?」


「いやいや、あげないよ。どんなことになるのか分からないからね」



俺はシェリルにそう言って、とりあえずオークの睾丸をアイテムボックスに入れた。

乾燥が途中なのは残念だが、あげれないものを吊るしておくのは馬にもよくない気がしたからだ。


後でニンジンを多めにあげるから許してね。



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