第82話 再びフィデールへ



精力のつく料理かー。

なかなかの難題かもなー。


そう、この前依頼された件だ。

前の世界だと、スッポンやうなぎ、にんにくやニラ…マムシドリンクなんてものもあったなー。


あっ! オークの睾丸があったじゃん!

あれじゃダメなのかな。

今度狩ったら鑑定してみよう。



俺はとりあえず、グランツの市場に行ってみた。

この前とは違って目的がはっきりしている分、めぼしいものがあっても見逃すことはないと目を光らせたが、これといったものはなかった。


冒険者ギルドに行って、アイラにも聞いてみたけど、この辺りで狩れる魔物や植物にそれっぽいものはないようだ。



それから数日、市場に通い続けたが何の成果もなかった。

早くも暗礁に乗り上げちゃったかな。



------------------------------------------------------------



その日の夜、もはや当たり前になりつつある川の字状態の時になって、セレナとシェリルに相談することにした。



「なぁ2人共、またフィデールに行かないか?」


「別にいいけど、ステラさん達の料理のこと?」


「うん、そうなんだ。グランツでは何のヒントも無くてねー。フィデールならもしかしてと思ってさ」


「私は構わないわよ。シンシアさんの特訓もひと段落してるし、実戦でも試してみたいからね」



そう。セレナはシンシアさんにお願いして弓の訓練を受けていたのだが、あとは実戦で慣らしていくくらいのレベルまできているらしく、この前武器屋で自分用の弓を買ってあげたばかりだ。



「シェリルは…問題ないよな。商人だもんな」


「そうだね。行かない理由なんてないよ!」


「じゃあ、決まりだな! 明日にでも出発しよう」


「「わかった」」



------------------------------------------------------------



次の日、俺たちはルート商会の馬車でグランツを出発した。


この前の依頼の時は馬車が初めてということもあって、交代とは言いながらも結構シェリルに御者を任せてしまっていたが、今回は俺の用事でもあるのでなるべく俺が御者をすることにした。



「早く魔物が出てこないかな?」



何だ?後ろでセレナが物騒なことを言っているぞ?



「俺としては出てこない方がいいんだけどな...」


「えー?それじゃ、弓使えないじゃない?」



あー、そういうことか。

セレナは習った弓を試したくてウズウズしてるのかー。



いつの間にか戦闘狂になっちゃったよ。



あの可愛いセレナはどこへ行ったのかな...。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る