第180話 女の戦い



謁見した翌日。

俺たちは王都の外へ出る前に、冒険者ギルドへ立ち寄った。

この辺の情報を得るためだ。



「あら、ディオランサの皆さんじゃないですか。王都でも活動してくれるんですか?」



俺たちに声をかけてきてくれたのは黒の受付嬢クレアさんだ。

王都のように大きいギルドではこういった顔見知りがいると助かる。



「えぇ、少し体を動かさないとなまっちゃいますからね」


「そうなんですね。てっきり私はもうすぐ上がってしまうランクに見合う実力を付けにいくのかと思ってましたよ」


「「…」」


「何でその話をクレアさんが…。ギルド長か!!」


「そんなに彼を責めないで。彼は昨晩ベッドの上でうっかり喋ってしまっただけなのだから」


「「…照」」



クレアさんが唇に人差し指を当てて、艶めかしく話す。

その色っぽい仕草に、同じ女性であるセレナとシェリルも顔を赤らめている。

なるほどね。

ギルド長とはそういう関係ですか…。

にしても、ギルド長は簡単に落とされ過ぎじゃない? 口が軽いにも程があるぞ。



「正式に発表があるまでは黙ってて下さいね」


「私だって馬鹿じゃないのよ。それくらい分かってるわ。まだまだこの関係を終わらせたくないしね」



何だろう。

急に話し方にも、クレアさんの年上感が増してきてる。

本性を現したか?



「それで、俺たちにその話でちょっかい出してきた理由は何ですか?」


「あら、物分りがいいのね。そういう男は好きよ❤」


「えっ?」


「「!!」」


「そこのお嬢さん達、そんなに睨まないでくれる? 大丈夫よ。フィリア王女様お気に入りのシーマくんには手を出さないわ……私からはね」



この人ヤベーな笑

経験豊富なお姉さん感が半端ない。

俺も落とされちゃいそうだ。





プチプチッ



「クレアさん、いい加減その辺にしておいてもらえますか?」


「あなたを闇に落とすくらい訳ないんですよ」



こっちは違った意味でヤベー苦笑

セレナ、目が据わってるし…

シェリルも隠密スキル使うなよ…


それにしても、

2人ともキレると怖いんだなー。

肝に命じておきます。



「じょ、冗談よ。本気にしないでちょうだい。まったく…若い子は血気盛んなんだから」


「どうかしら」


「こっちはいつでもいけるからね」




「もう…わかったわよ。そろそろ本題いいかしら?」






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