第215話 怒涛
俺だけの戦い方か…。
俺だけの剣。
俺だけの魔法。
前の世界の物語では、剣に魔法を付与するやり方が定番だったなー。
でも、果たしてそれが俺らしいのかな?
そもそも、それが出来たとしてもそれに耐えうる剣じゃなさそうだし、現実的には難しいだろう。
今度、エルピスにでも相談してみようかな。
みんなにお願いして、翌日から魔物との戦闘は俺が先陣を切るようにした。
ただ闇雲に剣を振り回している訳ではないが、傍からはそう見えるかもしれない。それでも何かを掴み取りたかった。
そして、
いくつかの戦闘を経て、魔法やスキルのレベルが上がった。
急に戦闘が多くこなしたせいなのか、これまで中々上がらなかったのにここにきて怒涛のレベルアップ。
今のステータスはこんな感じだ。
・シーマ•••人間
・年齢•••17歳(独身)
・職業•••冒険者(Cランク)
・スキル•••剣士Lv.4、生活魔法Lv.3、火魔法Lv.2、水魔法Lv.1、土魔法Lv.2、光魔法Lv.1、空間魔法Lv.2、隠蔽魔法Lv.1、性魔法Lv.1、鑑定Lv.1、アイテムボックスLv.1、精神耐性Lv.1、料理Lv.2、攻撃力1.5倍、防御力1.5倍、経験値共有、スキル共有
・称号•••転生者、エルピスの使い
・セレナ•••人間
・年齢•••17歳(独身)
・職業•••冒険者(Cランク)
・スキル•••水魔法Lv.2、光魔法Lv.2、生活魔法Lv.2
・スキル共有中
・シェリル•••人間
・年齢•••15歳
・職業•••冒険者(Cランク)
・スキル•••暗殺術Lv.2、投擲術Lv.2、隠密Lv.2
・スキル共有中
俺は剣術と火魔法と土魔法、セレナは光魔法、シェリルは隠密のレベルが上がったので、ちょっとはCランクっぽくなってきたのかな…。
いきなり強くなれたりするもんじゃないからなー。焦ったところで何の意味もない。着実に一つ一つを積み重ねていくしかないんだ。
「シーマくんたちもどんどん強くなってるね」
ある時にクリスさんが声をかけてきた。
「そうなんですかね? クリスさん達を見てると全然そんな感じがしませんが…」
「そんなことないよ。剣の振りが鋭くなってるよ」
「そうそう。これは3人に言えることだけど魔力もどんどん上がってきてるよ」
会話の途中から同意するようにしてノエルさんも加わってきた。
「ノエルさんはそんなことも分かっちゃうんですか?」
「はっきりしたものじゃなくて、感覚的なものだけどね。何か訓練でもしてるの?」
イルマさんも似たようなことを言っていた気がするが、ノエルさんは魔力に対して何か特別なものを持っているのかもしれないな。
「毎日、魔石に魔力を全部注ぎ込んでから寝るようにしてます。俺はバリアを使ってるのでその分は残すようにしてますが…」
「へぇー。そんな方法があるんだ。魔石って売っているやつでしょ? 私もやってみようかしら? クリスもやってみれば?」
「そうだね。選択肢は少しでも増えることに越したことはないからね」
おい、ちょっと待て。
魔石に魔力を注入する方法を知らずに、ノエルさんはどんな方法で大きな魔力を手に入れたんだよ。あれかな? 生まれながらにしてってやつかな?
「こちらが空の魔石で、色の付いたほうが俺が魔力の入れた魔石です。売っているのを見てるのであれば、属性によって色が違うのは知ってますよね?」
「えぇ、そうね。でも、これまで魔石を必要としなかったから、魔石に対して自分の魔力を注ぎ込むっていう発想がなかったわね」
「まぁ、そうでしょうね。俺たちは宿屋をやってる頃から火と水の魔石は必須でしたからね。今は空の魔石がたくさんあるし面倒だからやってませんが、冒険に出たての頃は魔物から魔石を取り出してましたよ」
「そうよね。必要な人にとっては欠かせないものだからね。
そうだ! ねぇシェリル、私が魔力を入れた魔石って売れたりすのかな?」
「はい、もちろん売れますよ。っていうか、ノエルさんの魔石は私が買います!!」
「えー、シェリルにだったらあげるわよ」
「いいえ、ダメです。ノエルさん、これは商売なんです。だから、どんなに仲が良くても報酬は支払わなければならないんです!!」
「わかったわ。そこまで言うならそうする。いいわよね、クリス?」
「あぁ、そこは任せるけど、お金は僕が預かるからね?」
「えぇー!! それだと私が買い食いする楽しみが…」
んん?
何だかエリシオンの知られざる部分が見えてきてるな。
お金はクリスさんが管理してて、ノエルさんは食べることに使っちゃうんだー笑
しっかりしてそうなノエルさんだけに、クリスさんもノエルさんのそんなところが可愛かったりするんだろうな。
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