第216話 リーズ
そんなこんなで俺たちはリーズに到着した。
街に入る時に、衛兵さんにフィリア王女のことがバレないか心配だったけど、偽名カードのおかげで何事もなかった。
とりあえず俺たちはギルドに行って、宿屋とエピリシア教国の情報を聞きに行くことにした。
「シーマは後ろにいて!!」
「ギルドの受付嬢は危険なの!!」
ん?
何だ何だ?
冒険者ギルドに入ったら、嫁ズが急に俺の前に出て来たぞ。
「何かあったの?」
変装したフィリア王女が問いかけてくる。
「私たちはこれまでいくつもの冒険者ギルドに行きましたが、シーマがすぐ受付嬢に手を出すんです」
「ボクが知ってるだけでも、1人、2人、3人…」
「シーマさん、後ろに下がってて!!」
「でも…」
「私の言うことが聞けないのかしら?」
「…」
嫁ズがその理由について答えた途端、フィリア王女も一緒になって俺を後ろに追いやるようになってしまった。
「ここは僕が話をしようかな…。いいよね、ノエル?」
「大丈夫よ。私はクリスに色目使った時点で凍らせるから」
「いやいや、そういう意味じゃなくて…」
ノエルさん、スゲーな。
顔色変えずにとんでもないことを言ってる。
「そうか、私も弓で…」
「ボクもナイフで…」
いやいや、嫁ズも感化されないで!!
そこまですると犯罪だから!!
「私は何もないわね。困ったわ…」
「ギルドごと潰すしかありませんね」
王女もイースさんも訳の分からないこと言ってないで何とかしてよ!!
「あのー。冒険者ギルドに何かご用でしょうか?」
ロリロリキュートな受付嬢が若干震えながら挨拶してきた。
グランツのアイラに近い感じだ。
ごめんねー。
ウチの女どもは怖いよねー。
「僕達はこれから友達に会いにエピリシア教国へ行くんだけど、今の教国の情報はあるかな? あと、この辺の状況についても教えてくれると助かる」
「エピリシア教国は首都であるエルブライトが騒がしくなっているようです。一説によると聖女交代の騒動があるらしいのですが、オルティア王国のギルドとしては現在、そこまでの情報しか得られておりません」
「そうか。でも友達に会いに行く分には問題なさそうだな」
「はい。そして、このリーズ周辺については最近魔物の数が増えております。国境がすぐとはいえ油断は禁物です」
「なるほどな。それは注意するとしよう。最後に僕達はこの街が初めてなんだがおすすめの宿はあるかい?」
「それなら、この通り沿いにある宿がおすすめです。大きい建物なのですぐに分かると思います」
「よしわかった。いろいろとありがとう」
「いえいえ。またギルドに用があったらお越し下さい。私は受付嬢の「名乗らなくてもいいわ!!」…」
クリスさんと会話をしていた受付嬢が名乗ろうとしたところで、ノエルさんから待ったが入った。
「あなた、いろいろとありがとね。また用があったら来るわね。クリス、行くわよ!!」
「お、おう!!」
「…」
ノエルさんが強引にこの場を締めて俺たちはギルドを出ようと扉へ向かった。
「クリスさんも大変ですね」
「シーマくんほどじゃないと思うよ」
最後尾で男2人がボソボソと話している様は、他の冒険者たちからはどう見えているのだろうか苦笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます