第214話 家族
「セレナ、ノエルさんとの訓練はどんな感じなの?」
食事も終わり、自室へと戻ってきた俺たち3人は、あとは寝るだけの状態で寛いでいた。
そんな中、さっきイースさんと剣の話をしたこともあって、セレナに訓練の状況を聞いてみた。
「ノエルさんは飲み込みが早いから、弓についてもあとは実戦でやってみるだけね。今はもう、私が魔法を習ってる時間のほうが多いんじゃないかな」
「どんなことを習ってるの?」
「主には発動を早くするための訓練だね」
「何それ?」
「魔法を早く発動するための魔力操作と、魔法を想像しながらの詠唱ね」
「?」
シェリルにはピンと来てないようだが、これは結構重要だったりする。
イメージしながらの詠唱は発動速度を早くするのだ。
「そうか。それじゃあセレナも魔法使いとして、どんどん戦えるようになるな」
「うん。魔石の訓練もほぼ毎日欠かさずやってるから魔力も増えてるみたいだし、みんなの足を引っ張らないように頑張るよ!!」
何だろう。
セレナのやる気がやたらと眩しい。
セレナは素直でまっすぐだからな。余計にそう感じるのかもしれない。
イルマさんにも気に入られるだけのことはある。
「シェリルはどうだ?」
「うーん。今のこの人数の中だとボクはやっぱり遊撃の部分を伸ばそうと思ってるから、速さと投擲に力を入れてるよ」
さすがはシェリルだ。
ちゃんとバランスを考えでる。
イースさんがいるからフィリア王女のカバーは必要ない。そして、ノエルさんとセレナが後衛でいて、クリスさんと俺が剣で戦えるから、遊撃という訳だ。
「そうか。シェリルはよく周りが見えてて、自分がやるべき事をちゃんと考えてて偉いな」
「えへへー」
やるべき事を自ら進んでやってる2人に対して俺はどうだ?
剣に対する迷いもあるし、魔法に関しても中途半端だ。
「そんな2人から見て俺はどうなんだろうか。今は主に剣士をしてるけどそれでいいのかな?」
「どうしたの急に?」
「何かあった?」
「いや、クリスさんとイースさんの剣を見てると、自分が恥ずかしくなっちゃってさ。剣士を名乗れないなって…。かといって魔法も中級がやっとだしさ…」
「だって私たち、まだ強くなる途中じゃない!!」
俺の情けない言葉をかき消すようにセレナが大きな声で言った。
「そうだよ。ボクももちろんだけど、シーマの剣も魔法もまだまだこれからだよ。諦めちゃダメだよー!!」
「…」
「ねぇシーマ。確かにクリスさんとイースさんの剣はスゴいし、ノエルさんの魔法もかなり強力よ。でも、3人とも両方は扱えないよね?」
「!!」
「そうだよ。せっかく両方出来る才能がシーマにはあるんだから、シーマにしか出来ないことをやればいいんだよー」
「それこそ料理みたいに、シーマにしか出来ない戦いが出来るよ、きっと!!」
情けないな、俺は。
やっぱり俺の嫁ズは最高だ。
俺は2人の元へと近づいて、それぞれを抱き寄せる。
「そうだな。2人の言う通りかもしれないな。ちょっと自信無くして情けないこと言っちゃってごめんな。俺に出来ることを探して頑張ってみるよ」
「ううん、気にしないで。だって私たちは家族でしょ?」
「そうそう。もう家族なんだよ?」
「そうだな。家族だもんな。でも、ありがとう」
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