第213話 ジト目



「「「ジー」」」



イースさんが調理を手伝ってくれるようになって、昼も夜も早く出来上がるようになったのはいいが、ちょっとした問題が出てきた。


嫁ズ+1からのジト目が痛い苦笑



確かにイースさんはキレカワだよ。

でも、こうして料理をしながらだけど、近寄っちゃうとどうしてもわかっちゃうんだよなー。お胸のあたりがスレンダーかなって...。もうちょっとふっくらしてたほうが健康的でいいんだよなー。

って、本人に言ったら激怒しそう...。



何はともあれ、そんな感じで羨ましそうに見ている嫁ズ+1のジト目にも負けずに強行されている2人のクッキングタイム。



「そういえば、イースさんはクリスさんと剣の稽古してますよね。クリスさんとやってみてどうですか?」


「結構キツいですけど、キレイな太刀筋に見とれちゃいそうになるのを堪えながら何とか持ちこたえている感じです」


「あー、何かわかりますよ、それ。俺もクリスさんと何度もやってますけど、自分の動きが止まりそうになりますもん」


「洗練された無駄のない動きがそうさせるんでしょうけど、今まで経験したことのないような感覚です」



お互いに料理をしながらも手を止めない俺たち。

イースさんが食材をカットし、俺が調理するという流れだ。



「でも、俺から見れば2人とも綺麗な動きをしてるように見えますけどね」


「えっ? 私もですか? 受けることにただただ必死なんですけど...」


「もちろん本人的にはそうなんでしょうけど、何ていうか...動きが同調してるように見えるような...」


「...」


「...イースさんの動きがどんどんと、クリスさんに引っ張られているような感じかな」


「...外からはそう見えるんですね。周りのことなんて気にしてる余裕なんてないですから」


「それこそ2人だけの世界みたい笑」


「そんなこと言ったらノエルさんに怒られちゃいますよー笑 」



そうこうしているうちに料理はだいぶ出来上がってきた。そろそろ仕上げの段階だ。

この頃になるとイースさんのカットは終わっているので、俺の調理を見ているだけだ。



「シーマさんも剣を使うんですよね?」


「クリスさんとイースさんのアレを見てたら、俺は自分が剣士だなんて言えませんよ苦笑」


「クリスさんもシーマさんは剣もなかなかだって言ってましたよ?」


「うーん...でも、俺はそのなかなかのままで止まってるような気がしなくもないんですよねー。魔法も使うので、剣一本に絞れないことが影響してるんでしょうけど」


「剣だけにしようという気はないんですか?」


「どんな状況にも対応しようと思うと魔法も必要になってくるし、そもそもあと1年くらいで宿屋に戻るつもりだから、冒険者も一時的なものなんですよ」


「何だかそれももったいないですね」


「...俺は嫁たちと楽しく生きていければそれでいいんです。さぁ、料理が出来たのでみんなのところへ持っていきましょうか!!」



もったいないか...。

冒険もいろいろな出会いがあって楽しいけど、死のリスクが付きまとう。

俺はともかく、嫁たちをそんな中にずっと置いておけないよな。






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