第259話 ズルい女?



「ルミナスはシーマさんから魔力をもらっても大丈夫なの?」


『偽物の杖とすり替えた時にちょこっとだけ入ってきたんだけど、それが気持ち良かったの。何か…クラリスとは違った優しさ?って感じなの』


「そう。ルミナスには私とシーマさんの魔力が混雑してるのね。いわば血のようなものね。ということは、ルミナスは私とシーマさんの子供ということに…」


「ちょっと待った!! クラリス、それは聞き捨てならないわね!! ルミナスは私が作ってシーマくんが名前を付けたの。私とシーマくんの子供よ」


「ぐぬぬぅ…エルピス様もやるわね。こうなったらすぐにでも人間の子供を作ってやるわ!!」


「はいはい、君たちもそこまでねー。ルミナスは俺の子供ではありませんからねー。大事な仲間ではあるけどね」


『仲間って言ってくれてありがとうシーマ。今はそんなシーマの優しい魔力が欲しいな…』


「「…」」


「何だかんだで一番したたかなのはルミナスかもしれないな。これから魔力流すぞー」


『きたー!!』


『んんー!!』





「シーマさん、2本同時に魔力をあげちゃって大丈夫なんですか?」


「うん。エルピスからのスキルでレベルは底上げされてるし、日頃から魔力を鍛えてるからね。少しくらいなら問題ないよ」


「へぇー。魔力を鍛えるんですか…。今度教えてくださいね」


「わかった。みんなやってると思うから一緒になってやってみて」


「はい!!」


「じゃあエルピス、そろそろ帰るね」


「…えっ、あぁ、はい。途中途中放置されてたので忘れられてるかと思いました」


「馬鹿だな。俺がエルピスのことを忘れるわけがないだろ。今この世界で何とかやっていけてるのはエルピスのお陰だからね。ある意味、一番頼りにしてるしな」


「シーマくん…」


「でも、そのエルピス様はしょうもない理由で私を乗っ取るつもりでいますけどね…」


「あぁー、そうだった。その件を忘れてた。前言撤回しまーす」


「…あのねクラリス、聖女にしてあげたあなたを、今回は私が手を回して助けてあげたのに、その恩をアダで返す気ですか?」


「エルピス様、それとこれとは話が別ではありませんか? こんなに綺麗な女神様なのに中身が真っ黒では信者が幻滅してしまいますよ?」


「あらクラリス、聖女ともあろうお人が、その女神の心に傷をつけてしまっても良いのですか?」


「はいはい、2人とも綺麗な顔がどんどん醜くなっていきそうなのでそこまでにしようねー」


「だって、エルピス様が…」


「だって、クラリスが…」


「だってもへったくれもありません。クラリスは一緒に帰るよ。エルピスはまたね」


「あっシーマくん、サザンベールでお魚料理が出来たら、また献上して下さいね」


「すぐは無理かもしれないけど、それでも良ければ」


「えぇ大丈夫です。お待ちしてますね」


「あぁ、それじゃまた」





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