第246話 杖の名前
「シーマくん、聖女の杖を取り戻してくれてありがとう」
いやいやエルピス、まだまだこれからが本番だからね。お礼を言うのはまだ早いよ。
それよりも、聖女の周りで何か変わったことはある?
「特にこれといった動きはないですね。エデナのほうも、まだ杖のすり替えには気付いてないみたいです」
そっか。
それで確認なんだけどさ、
エルピスは聖女交代を告げたの?
「いいえ。私の中ではクラリス以上に聖女としてふさわしい人はおりませんので、交代などありえない話です。聖女の杖よ、あなたならそれがわかるのではないですか?」
あー、そうだった。
杖はアイテムボックスにあるんだった。
って思ってたら、杖が勝手に出てきた。
全くどいつもこいつも…苦笑
「ママの言う通りだよ。クラリス以外に聖女はいないよ」
ふーん。
聖女の杖の声を初めて聞いたな。
結構可愛らしい感じの声だ。
「え、そ、そんな…」
「シーマー、浮気は許さないって言ったよねー!!」
シータまで出てきちゃった。
違う違う、そうじゃ、そうじゃない。
話を戻さねば。
それじゃ、聖女を救出したらすぐにオルティアへ戻ったほうがいいってことだよね?
「そうですね。クラリスのことを考えたら、このままエピリシアにいるよりはオルティアへ行ったほうがいいと思います」
となると、トンボ帰りだな。
でもなー、オルティアっていっても王都に戻るわけにもいかないから、別の街…フィデールとかグランツ辺りでもいいかもな。
後でクリスさん達に相談しよう。
「そうだー。シーマー、杖さんにも名前付けてあげてよー」
えっ?! 何で俺が名前付けるの?
聖女が名付けすればいいんじゃね?
「だって、杖さんにもシーマの魔力が少し入っちゃったらしいから、シーマが名前付けてもいいんじゃないの?」
えっ?!
俺の魔力が入っちゃったの?
「え、あ、少しだけ…。すり替えてもらった時に…」
そうなのか。
エルピスはどうなの?
俺の魔力が入っちゃったとはいえ、エルピスの子供だろ。俺が名前付けるわけには…
「聖女の杖にシーマくんの魔力が…。もはや聖女の杖は私とシーマくんの子供同然よね!!」
「「「はぁ?」」」
「だったらシーマくんに名前を付けてもらうのが必然!!」
「「「…」」」
「さぁ旦那様、私達の子供に名を与えて下さい!!」
ちょっと待て。
エルピス、まずは落ち着こうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます