第268話 化粧水騒動リターンズ
「ねぇシーマさん、あの化粧水ってまた作れるの? 」
「「化粧水!!」」
「「「???」」」
俺らがお風呂を作って入った翌日の朝、フィリア王女から突然、化粧水のことについて聞かれた。
封印している事情を知ってるセレナとシェリルが過剰な反応を見せるが、クラリスとノエルさん、イースさんの3人は何も知らないので?な感じだ。
「フィリア王女から材料だけは持っておくように言われてたので、まぁ作ろうと思えば作れるけど...。急にどうしたの?」
「それがね、私も急に思い出したのよ。オルティアにいる時は使えなかったし、これからオルティアに戻っても使えるかどうか分からないから、この際ここにいるみんなで使ってみようかなって思ってね」
確かにな。
オルティアの王城にいたらソニア王妃がいるから使い辛いわな。そしてそれは、オルティアに戻っても同じこと。であれば、この機会しかないってことだ。
「わかった。そういうことなら作ってみるけど、明日になったらサザンベールに着いちゃうかもしれないから、作るとしたら今日の夜しかないな」
「それでいいわ。せっかくの時間だし、これからの計画のこともあるから、試してみておきたいのよね」
「計画って、何の計画?」
「化粧水の売り方よ。モノによっては爆発的な売上が期待出来るわ。レシピを含めて私が関わることで他の商会も手が出しにくくなるわ。独占販売が可能になればそれだけでも暮らしていけるようになるもの。宿の利益だけでは暮らしていけないかもしれないのよ? シーマさんの嫁の1人としてはそういうことも考えていかないと...」
「「...」」
うーん。そう来たか...。
確かに売れるものは売ったほうがいいのかなー。
俺だけの暮らしじゃないんだし。
「嫁入りのことは置いておいて...」
「何で置いちゃうのよ!!」
「いいえ、今は置いておくべきよ!!」
「ぐぬぬぅ...」
「「...」」
俺の言葉の後に、フィリア王女がすぐさま反発したが、どういう訳かクラリスが援護してくれた。例の3番目争いかな...。
まぁいいや、嫁ズも若干呆れてるようだし話を続けるか...。
「何にせよ、とりあえず作ってみて、みんなの感想を聞くことにするよ。それでいいかな?」
「それは構わないんですが、その化粧水って何なんですか?」
まぁそうだよな。
何も知らないクラリスからしたら気になるのは当然だ。
「以前、俺が試しに作ったものだよ。肌が荒れたりしないようにしっとりとさせるものだね。前に作った時は、セレナとシェリルに試してもらって好評だったんだけど、薬師のイルマさんやフィリア王女に相談して、対応に困るから一時封印ってことになったんだ。ちなみに最初に作った分の残りはエルピス様に献上しちゃってる」
「エルピス様ズルい...」
クラリスが小声で何か言ってるけど、聞こえないフリしよう。ヤブヘビな気がするからな...。
「ねぇシーマくん、ちょっと聞きたいんだけど、それって今度作ったら私達も試してみていいの?」
「もちろんですよ。ノエルさんもイースさんも使って見てください。感想は多ければ多いほどいいので」
「「やったね!!」」
パシンッ
俺の言葉を受けて、ノエルさんとイースさんがハイタッチをしている。
横で聞いててずっと気になってたんだろうなー。喜んでくれたのは素直に嬉しい。
ん?
もしかして俺、
結構な数作らないといけない感じ?
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