第267話 のぼせる



「何か問題があるといけないからさ、まずは俺だけ入ってみる。みんなはちょっと我慢しててるか?」


作ったばかりの浴槽に水を張って温めている間、これまた作ったばかりの湯浴み着に着替えかねない嫁ズたちを俺は制した。


初めてのスキルで初めて作ったものだからな。危険がないとも限らない。ましてや、肌の露出がとても多くなる。ヒールがあるからといって何かあってからでは遅いのだ。



「...わかった」


「大丈夫そうならボクたちも入るから」


「とりあえず着替えておくね」



まぁ納得はしてくれたようだが、何だかクラリスだけ相変わらずズレてる気がするのは気のせいか?


少し湯気が立ち上ってきたのでそろそろ頃合いだな。一応、手を突っ込んで確認したが問題ないようだ。


待ちきれなくなった俺は、みんなが見ているのにも関わらずトランクスのみの状態になって、ゆっくりと浴槽に入った。



「はぁ〜」



やべぇ。

気持ち良すぎて言葉が出ない...。

目を閉じて息をつくと、体から力が抜け落ちていくのがわかる。


俺はどうして今までお風呂を作らなかったんだ? 自分に腹が立ってくる。




チャポンッ




ん? 何だ?



「!!」



俺が音に反応して目を開けたら、嫁ズたちが浴槽に入ってきていた。



「あったか〜い」


「これは気持ちいいねー」


「シーマさんだけなんてズルいです」



うん。

ヨコシマな気持ちから、浴槽はある程度大きめに作ったけど、4人は無いかな。お湯が溢れそうじゃん。



「どう? 少し疲れが取れる気がするでしょ?」


「うん、そうだね」


「もっと早く教えて欲しかったよ」


「お持ち帰りしたいです」



いやいや、クラリス。

俺がお持ち帰りされたいです。

いや、違うな。

そうじゃない、そうじゃないよな。


しかし、湯浴み着もワンピースタイプにしておいたけど、クラリスだけ胸の辺りがキツそうだ。特に谷間がすんごいことになってる。他の2人の手前、それを指摘するわけにもいかないよな...。


そんな状況だから、俺のトランクスもかなり膨らんでしまって、とてもじゃないがここで立ち上って浴槽から出られる状態ではない。

いや、立ってるよ。違う意味で既にいきり立っているけどね。



いかん。


のぼせそうだ。


いや、もうのぼせてるな。


破壊力がスゴいんだもん。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る