第182話 始動
冒険者ギルドを出た俺たちは、まずは腕試し?に向かおうと馬車で王都を出た。
久しぶりに街の外を走れるからか、シェスターもご機嫌だ。リズムよく進んでくれている。
とりあえず数日は日帰りで狩りをしながら戦闘感を取り戻しつつ、状況を見て依頼の山に行くつもりだ。急ぎ過ぎるのも良くないからな。慌てずに少しずつでいい。
「セレナとシェリル、そのままちょっと聞いてくれ」
「どうしたの?」
「何かあった?」
御者台から俺が声をかけると、後ろから2人が顔を出した。
「この半月の間に強くなることはもちろんだけど、いくつかやりたいことやお願いしたいことがあるんだ」
「何をすればいいの?」
「まずは鑑定をたくさん使うように慣れていって欲しい。山へ行けば植物がたくさんあるし、山賊対策にも有効だからね。出来るだけ効率の良い方法を取るには、鑑定を使いこなすことが欠かせないんだ」
「そうね。イルマさんから薬草とかをお願いされちゃってるし」
「ボクも王都の市場に来たら知らないものがいっぱいあったからね。当たり前に使えるようになるよ」
そう。
実は、イルマさんはセレナに薬草採取をちゃっかりお願いしていたのだ。
お世話になっているから構わないんだけど、冒険に行くことにあれだけブーブー行ってたくせに、頼み事はしっかりしてるという…。
そんなセレナはもちろん、シェリルは商人としても鑑定を使いこなせば良い取引が出来るのだ。鑑定を操ることに損はしない。とりあえずは慣れて習慣付けてもらうしかない。
「あと、戦闘になった時、俺からは指示しないようにするから、それぞれの判断で動くようにして欲しい。もしくはどちらかが指示をして欲しい」
「出来るかな?」
「魔物相手だったらそれでもいいけど、山賊相手だとそうもいかないんじゃない?」
「確かにシェリルの言う通りかもしれないね。でも、やってみなければわからないでしょ。何も言わなくてもお互いのやりたいことを理解して動くのが理想だね。そして、それは俺たちなら出来ると思ってる」
「そこまで言われたら…」
「やらないわけにいかないよね!!」
うん。
上手くヤル気の出る方向に持っていくことが出来た。
サーチや鑑定を使って相手の特徴が分かれば戦術が立てやすいからな。後はどれだけ落ち着いて出来るかだな。王都に来るまでもたくさんの戦闘を経験してるんだ。俺の嫁ズなら出来る。
「右前方に5つの反応があるわ。さほど強く無さそうね。姿が確認出来次第に弓を放つから、撃ち残したらお願いね」
おぉー。
早速セレナが指示を出してるな。
うん。いいぞいいぞ。
「わかったー。いつでもいいよ」
「こっちも大丈夫だ」
結果。
ゴブリンをセレナだけで仕留めてしまった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます