第183話 そろそろ



俺たちが日帰りで狩りに出掛けるようになって6日が経った。

2日狩りして1日休みにしたので、今日は休みの日だ。


狩りといっても、日帰りで行ける距離が限られるため、そんなに遠くまで行けず、強い魔物に出会うこともなかったのだが、パーティーとしての連携は取れるようになったんじゃないかと思う…な。


そして、いよいよ明日から依頼の山に向かうことになる。

だから、今日のうちに準備を済ませておかないといけない。俺たちの準備はもちろん、イルマさんのご飯も…だよな?


ちなみにフィリア王女は、俺たちの予定を知ってるかのように、休みの日にヒーラへ来ている。



「フィリア王女も、俺たちが狩りの日に来てくれたらイルマさんも暇にならずに済むんじゃないですか?」


「えっ? それじゃあ、私がつまらないじゃない。みんながいてくれたほうが楽しいもん」


「「「…」」」


「あー、そうかいそうかい。フィリアは私がいるだけじゃつまらないのかい…。いつからそんな女になってしまったんだろうね…」



あー。イルマさんが拗ねちゃったよ。

フィリア王女、ちゃんとフォローしておいてよ!!



「だって、イルマさんは1人の時間が長かったから平気でしょ?」




ピシッ!!




おーい。

誰か、この凍りついた空気を何とかしてくれー。



「フィリア王女、イルマさんが以前に言ってましたよ。『私には子供がいないけどフィリアが孫みたいなもんなんだよ』って。もう少しイルマさんを大事にしてあげて下さい」



まさかのセレナが間に入っていった。

そっかー。

セレナはポーションのことでイルマさんと一緒にいることが多かったもんな。この状況を見ていられなかったんだろうな。



「セレナ、余計なこと言うんじゃないよ!!」


「だって、言わなければ伝わらないこともあるじゃないですか…」



おぉー。

セレナ、良いこと言うじゃん。

さすがは俺の嫁。



「イルマさん、失礼なこと言ってごめんなさい。私、間違ってました。いつの間にか自分のことばかり考えてました…」


「フィリア。謝らなくていいんだよ。あんたもいつかは私から離れるんだから。その覚悟が出来ていない私がいけないんだよ」


「そんなこと……グスッグスッ」


「「………ズズッ」」



フィリア王女がイルマさんに抱きついて、その大きな胸に顔を埋めて泣いている。

セレナとシェリルもつられてすすり泣いている。



「ほらほら、こんなとこで泣くんじゃじゃないよ。シーマに嫌われるよ?」



えっ?

そこで何で俺が出てくる?

感動のシーン台無しじゃね?




ピタッ




ピタッじゃねーよ。

そこで泣き止んだらダメでしょ。





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