第54話 祈り
グランツの冒険者ギルドで初めての買取を終わらせた夜。
急に思い出してエルピスの女神像に祈りを捧げた。
だけど、エルピスには会えなかった。
俺もちょっとだけ?!忘れてたしな。
仕方ない。
次の日もその次の日も、そのまた次の日も森へ行った後に祈りを捧げたけど会えることはなかった。
そして、また休養日の夜。
遂に会えた。
「お祈りご苦労さま、シーマくん」
おぉーようやくエルピスの登場だ。
焦らしたなー。
「...いいえ。断じて焦らしてなどおりませぬ...」
何だろう。
間があるわ、言葉遣いがオカシイわで怪しさ満点だが...まぁいいか。
本題に入るとしよう。
俺もセレナも強くなりたくて冒険に出たんだけど、思うように強くなれなくてさ。そこでお願いなんだけど、
「何でしょう?」
『さらなるチートを下さい‼️』
「ビックリするくらい正直ですね」
そりゃそうだ。
どうせ心まで読まれちゃうなら!どストレートに言っちゃったほうが気持ちいいでしょ?
「それはそうですが、遠慮ってものが...」
遠慮なんてしてたら守れるものも守れなくなる。時には強引に行かなきゃいけない時があるんだよ。それが今のような気がするんだ。
「そうなんです。たまに強引に来られると堪らないです」
えっ?何の話?
チートの話はどこへ行っちまったんだ?
「あぁそうでした。チートの話でしたね」
そうです。それです。
それ以外にないです。
「それでは...、急に強くなるといろいろと問題が生じるので、攻撃力と防御力の1.5倍スキルと、パーティー内でのスキル共有化でいきましょうか」
あざっす。
エルピス大好きっす。
「大好きって言われちゃった...」
あっ!
「本気で下界することを考えないといけませんね...」
いやいや、エルピスが降りてきたら大変なことになるんで!
後任もいないんでしょ?
また下から祈りますから、とりあえずほそれで勘弁して下さい。
「しょうがないですね。今は我慢するとしましょう」
よかった。
それじゃ、俺は戻るから。
また祈るよ。
「えぇ。また祈って下さいね、私に会いたいと」
ん?
元の世界に意識が戻ったけど、
エルピスの最後の言葉の意味を
考えていたら眠ってしまった。
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