第255話 これは何ですか
「これは何でしゅか?」
もはや俺の定番中の定番となった塩唐揚げを1口食べたクラリスが驚いているようだ。
そして、本当にびっくりすると舌っ足らずになるのがはっきりしたな。
「先程言ったようにブラックバードですが、クラリス様のお口に合いませんでしたか?」
「い、いや、合います。合いすぎてぴったんこですぅ」
若干言葉がオカシクなってないか?
クラリスって何気に面白い人だったりするのかな?
「ほら私の言った通りだったでしょ? シーマさんの料理を食べたらビックリするでしょ?」
「本当にビックリしましたぁ。初体験の味ですぅ」
「あのねクラリス、いろいろとおかしくわよ?」
「すみませ~ん。美味しいものを食べるとこうなっちゃうんですぅ」
「「「「「「…」」」」」」
「クラリス様、シーマくんの料理を食べたら、みんなどこかおかしくなります。それが普通なんですよ」
意外にもノエルさんが同意を示した。
そういえばノエルさんは、3食の料理が保証されるという理由だけで今回の依頼を受けてくれたんだった。
ノエルさんもどこかおかしくなってるのかな? 見てみたいような見たくないような…。
「こんな美味しい料理を毎日食べてる皆さんはズルいですぅ」
「「「「「「「…」」」」」」」」
「フィリアが離れられなくなって、婚約するってグズってるのがわかる気がしますぅ」
「ちょ、ちょっとクラリス、グズってるって何よ!!」
「えっ、違うんですかぁ?」
「ぐぬぬ…違う…わない…」
「ふふっ」
フィリア王女を軽くイジってるあたり、やっぱりクラリスは徐々に慣れてきてるな。
他のみんなもそれを知ってか、微笑ましく2人のやり取りを眺めている。
俺もいい機会だから、気になってたことを聞いてみようかな。
「クラリス様はずっとエピリシア教国にいたんですよね?」
「えぇ、そうですね」
「何か変わった食材などは知ってますか?」
「うーん…、変わってるっていうのかは分からないんですけど、サザンベールという港町ではお魚とかがたくさんありますね」
「「「「魚!!」」」」
反応したのは俺の他では、シェリルとフィリア王女とノエルさんだ。
シェリルは商人としての反応だろうが、フィリア王女とノエルさんは食い気での反応だろう笑
「そのサザンベールってここから遠いんですか? オルティアへの帰り道にあるとちょうどいいんですが笑」
「サザンベールはここから南の方向にあります。オルティアのどこを目指すかにもよりますが、オルトであれば東となって全然違ってしまいますが、フィデールであれば少し遠回りになるくらいで済むのかと思います」
「みんなはどう思う?」
俺の中ではある程度決まってしまったのだが、俺1人のわがままを通すわけにいかない。他の意見も聞いておかないとな。
「ちょっとくらい寄り道しても問題ないんじゃないかな」
「シーマくんの料理の幅が広がるなら行くべきよ」
クリスさんとノエルさんは賛成派か。
「うーん。クラリス様のことを考えると早くオルティアに戻ったほうがいい様な気がするけど、みんなの意向に従うわ」
「ボクは行ってみたい。魚以外にも興味あるし」
「私としてはフィリア王女の意向に従います」
セレナはどっちかっていうと反対、シェリルは当然のように賛成か。イースさんはフィリア王女のお付きだから仕方ないよな。
あとは、肝心のフィリア王女だ。
「みんなの意見はわかった。セレナ、ごめんね。行きたいっていう意見が多いからサザンベールに行くことにするわ」
「ううん。気にしないていいよ」
次の行き先はサザンベールか。
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