第305話 水面下
「イース、その様子だと上手くいったようね」
「えっ?!」
「「「「?」」」」
「フィリア王女、いろいろとありがとうございました」
ん?
合流したばかりだが、何のことだ?
クリスさんがフィリア王女に頭を下げているのだが、俺には何のことかさっぱり分からない。セレナやシェリル、クラリスもポカンとしてるから同じ心境のようだ。
「エリシオンは今日から3人になります」
はいっ?
どういうこと?
「イース、クリスさんとノエルさんと幸せになるのよ」
「は、はい!!」
えっ?!
えっ?!
「それって、クリスさんはノエルさんとイースさんと結婚するってこと?!」
「そうよ、セレナ」
「もったいぶってないで、もうちょっと詳しく説明してよフィリア」
「ふふふ。実はね、昨日の夜にクリスさんとノエルさんから相談されてたのよ」
「「「「…」」」」
「もちろん私はイースが離れたら寂しくなるけど、ただそれだけの理由でイースの幸せを奪う訳にはいかないわ」
「「「「…」」」」
「今までもイースを連れて旅に出たことは何度もあったけど、今回は一番楽しそうだった。その理由はクリスさんとの剣の訓練であったことはすぐに気付いたわ。でも、イースは私の護衛という任務があったから自分の気持ちを押し殺していた」
「「「「…」」」」
「ねぇ、イース?」
「は、はい…グスッ」
フィリア王女の呼びかけにイースさんが返事をするのだが、イースさんは泣いてしまっている。
「大好きな人とずっと一緒にいたいって気持ちは、私にも痛いほどよく分かる。あなたは王家に十分尽くしてくれたわ。もう自分の幸せのために生きていいのよ」
「あ、ありがとうございます…フィリア王女…グスッ」
「クリスさん、ノエルさん。イースのことよろしくお願いしますね」
「はい。絶対幸せにします」
「はい。お任せ下さい」
「素敵な人達に出逢えて良かったわね、イース」
「はいっ!!」
フィリア王女がイースさんに近寄り、そっと抱きしめた。
イースさんはずっと泣いている。
本当に感動的なシーンなんだが、少しだけ蚊帳の外感が否めない。
水面下でそんな話が進んでいたなんて…。
俺もそのサプライズに絡みたかったなー。
でも、みんな幸せならそれでいいか!!
そう思うことにしよう笑
グスッ
グスッ
グスッ
気が付くと、セレナとシェリル、クラリスの3人ももらい泣きしている。
そうだった。
俺の嫁ズもこの3人になったんだった。
俺も嫁ズを幸せにしないとなー。
それにはまず、今日の夜から頑張らねば!!
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