第320話 切磋琢磨
シェリルの日が終わって翌日を迎えると、言葉にこそしないものの、クラリスは目の色を変えて聖水を作るようになった。もちろんセレナのポーション作りも同様に見える。
セレナは今日は自分の番ってわかっているにも関わらず気合い入れて作ってるところを見ると、やはり昨日のシェリルのスキル発現が影響しているのだろう。しかもご褒美システムは自分から言い出してるからな、譲れない部分もあるのかなって思ったりもする。
そんなにガツガツしなくてもいいような気もするけど、それを俺が言うのはヤブヘビなんだろうな…。
そちらについてはそっと見守ることにしよう。そうしよう。
そして、俺だ。
ご褒美がないとはいえ、俺も何かしらの成果をあげないといけないよな。
俺が今優先させたいのは調理関係の魔道具作りだ。
・ミキサー
・ミンチ器
・燻製器
今後また旅に出ることも考えると、この3つは作っておくと便利だろう。
とりあえず前の世界の記憶を頼りに、そのイメージをクラフトスキルへと落とし込んだら、なんと、あっという間に出来上がってしまった…。
もちろん、ベースとなる鉄の素材や魔石なども必要になるのだが、それを除いたとしても簡単な作業過ぎて、逆に申し訳なくなってくる。
早速、それぞれを試してみたが、満足のいく仕上がりだった。
だが、ここで1つの問題が発生した。
魔石だ。
魔物から採取してるので、アイテムボックスに大量にあるから魔石そのものの量としては問題ないのだが、魔力を補填している魔石の量が心もとないのだ。
旅に出た当初から魔力を増やす訓練として、俺はもちろんノエルさんにお願いしてまでたくさんの魔石に魔力を注入していたのだが、数々の魔道具に使用している上、さらに魔道具が増えたのでこれからは消費が確実に増えることが予想される。
セレナとクラリスはそれぞれ毎日魔力を使った作業をしているし、ノエルさんは狩りがあることを考えると、必然的に俺とシェリルだけになる。もちろん、他のみんなも残りの魔力で手伝ってはくれるだろうが、それもたかが知れてるよな。
どうしたものか…。
「あら、シーマさん浮かない顔してどうしたの?」
魔道具作りを終えた俺がキッチンにいると、フィリア王女が入ってくるなりそう言い放った。
「えっ?! そんな顔してた? ごめん…」
「いいのよ、別に。何か気になることでもあるの?」
「実はさ…、というわけなんだ」
気が付けば俺は何も考えず、魔石の問題をそのままフィリア王女に話していた。
フィリア王女にはこの世界の知識と権限がある。もともと信用の出来る人ではあるが、知らない間に俺たちにとっても頼もしい存在になっていたんだな…。
「それ、私にやらせてもらえないかしら」
「えぇ〜‼️」
フィリア王女の言葉に、俺は思わず大きな声を上げてしまった。
どうすればいいんだ??
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