第65話 パスタ登場



寝坊したせいもあって、あっという間にお昼になってしまった。

待ち合わせ場所であるルート商会の店に着くとシェリルが待っていた。



「ごめんね、シェリル。待たせちゃったかな?」


「ううん、全然待ってないよ。ココはウチの店だからやることなんていくらでもあるもん。じゃあお昼食べに行こうか」



ルート商会もそうだが、大きい通り沿いにあるだけあってどの店もそれなりに繁盛しているようだ。

だが、先頭を歩くシェリルは途中を曲がって路地に入っていき、さほどしないうちに目的の店に着いたようだ。

外観はお店というよりはお家に近い。メニューが外に出てなければ飲食店とは分からないかもしれない。



「さぁ、入って入ってー」


「あら、シェリルちゃん!いらっしゃい。そちらはお友達?」



店に入るなり、女性の店員が声をかけてきた。



「護衛兼お友達ってとこかな♪」


「益々いいじゃない。商人なんだから冒険者の友達は多いに越したことないわよ」


「アハハ…」


「いつものでいいのかい?」


「うん。いつものを3つでお願い」



シェリルはこの店の常連なんだろうな。やり取りに付き合いの長さを感じる。

シェリルたちと話をしているうちに、料理が運ばれてきたのだが、その料理を見て驚いた。



パスタだ。



コスタでもグランツでも見たことないから、恐らく他の国の料理なんだろうな。

元の世界の知識からすれば、見た感じは塩ベースのパスタだ。炒めた野菜を加えて彩りもいい。



「あんまり見慣れないだろうけど食べてみて。美味しいから!」



そんなシェリルの言葉に、セレナが困惑しながらもパスタを口に運ぶのを見て、俺も口にする。



「あっ、美味しい…」


「本当だ。美味しいね」



やっぱり予想通りの味だった。

それでも久しぶり?!ということもあって美味しく食べられた。

セレナもモリモリ食べてたので気に入ったのだろう。

これは是が非にでも手に入れたいな。

精龍亭の料理の幅がまた拡がることにもなるしな。



「なぁ、シェリル。コレってフィデールなら市場でも売ってるのか?」


「あー、それは『 バスタ』っていって、乾燥した状態で売られてるんだけど、フィデールの市場にもあるよ。ただ、そんなに大量には置いてないかも」


「そっか。出来ればある程度の量を定期的に欲しいんだけどな…」



シェリルが少し考えこんだ様子を見せた後で、意外なことを聞いてきた。



「あのさ、前から思ってたんだけど、シーマさんたちって何者なの?」



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