第44話 勢い



「ウォーターバレット!」



セレナがノッてる。

村を出てから何度かホーンラビットに遭遇したが、セレナの魔法だけで撃退出来た。

俺もレベル上げて強くなりたいんだけどな…。でも、ここでセレナのやる気を削ぐわけにはいかないので、俺はひたすら解体を担当する。


ホーンラビットの討伐証明部位は角だ。その角を切取って、そして魔石を抜き取り、血抜きをしてから肉を収納する。ホーンラビットの肉は焼くのもいいしシチューに入れたりもするので非常にポピュラーだ。たくさんあっても損はない。もっともアイテムボックスがあるから収納は気にしていないけど。




その後、何度かホーンラビットとバトルした後で、俺のサーチに1体のオークが引っかかった。


レベル的にはゴブリンやホーンラビットが複数でもEランクだが、オークは単体でもDランクだ。姿を確認するとこのオークの武器は斧か。少し緊張が走るものの焦りはない。いつも通りにやるだけだ。



「射程圏に入ったら魔法を頼む。その後は任せてくれ」


「わかった」



セレナに小さく声をかけると、やや緊張しながらもしっかりと答えてくれた。



「いくよー。ウォーターバレット!!」



セレナの魔法を合図に、俺も突っ込んで行く。



「ブモ!!」



魔法が直撃したオークも体勢を立て直して、迫ってくる俺に斧を振り下ろしてくるが、俺はそれを躱して剣で斬り掛かる。さすがに一振りでは倒せなかったが危なげなく勝利した。1体だから少しだけ余裕もあったが、複数になると厳しくなりそうだ。



ゴブリン同様に討伐証明部位の右耳と魔石を剥ぎ取ったところで俺の手が止まる。

オークの戦利品には肉の他に睾丸がある。薬などに使われるのだが、セレナの前で切り取るのもな…。



「ごめんセレナ。あっち向いててくれる?」


「睾丸取るんでしょ?私なら平気だよ」


「そっか。ごめんな、これもお金になるからさ」


「知ってる。だからこれからも気にしないで」



ある程度お金に余裕が出てくれば、解体しなくても冒険者ギルドに丸ごと収めて素材だけ引き取ることも出来るだろう。今は我慢してもらうしかないな。



その後、

俺たちは途中狩りをしながらも順調に旅を進めて、グランツにたどり着いた。



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