第5章 冒険 -教国編-
第211話 脱出?
ヒーラを出発した俺たちは王城へ入り、素早く変装したフィリア王女とイースさんを乗せて早々に王都と出た。
昨日の貴族会議の後ということもあって、王都ではフィリア王女の話で持ち切りらしい。だからこそ俺たちはさっさと王都を出る必要があった。感覚としてはほとんど脱出だ。
「王都は大変なことになってるわね」
フィリア王女がボソッと言った。
ほとんどがあんたの話題なんですけどね...。
「もしかしたらイルマさんはこうなることを知っていたのかもしれませんね。だからフィリア王女を無理には止めなかったんじゃないですかね」
「...そうかもしれないわね。だったら何としてもクラリスの救出を成功させて、堂々と王都へ帰ってみせないといけないわね」
「そうですね」
俺はそう言ったが、何も分からない今の状況がとても不安だった。
逃げるように王都を飛び出したが、教国に関する情報がほとんどないのが現状だ。教国に入る前に出来る限り、教国と聖女に関する情報収集をしておきたい。
「フィリア王女は前回、どこの街から教国に入ったんですか?」
「私たちは確かガラムから教国へ行ったわね。1番距離が短いルートで計画したらそうなった感じね」
「ガラムか...。ガラムの街って大きいんでしたっけ?」
「それほど小さくもないけど大きくもないわ。それがどうかしたの?」
「ガラムから行くかリーズから行くかで迷ってるんですよ。教国に入る前に出来るだけ情報が欲しいんですが、どっちに行ったほうがいいのか...」
「そうねー。街としての賑わいだけで言えば、リーズのほうが栄えてるわね」
「なるほど...」
最短距離のガラムをとるか、
情報に期待してリーズをとるか。
今、最も重要なのは教国もしくは聖女の情報だ。
そう考えたら、少しでも賑わっているリーズを選択するのが正しいんだろうな。
「よし、決めました。リーズに寄ることにします。よくよく考えてみれば、ガラムは最近フィリア王女が寄っていることから顔バレの危険があります。情報収集と食料補給のために立ち寄るのはリーズにします」
「そうね、言われてみれば確かにそのほうがいいわね」
俺とフィリア王女で決めてしまったことをみんなにも展開していく。特に反対意見も出なかったので問題はないようだ。
そして道中、
今までは見られなかった2つの光景が繰り広げられることになった。
1つは、セレナによるノエルさんへの弓指導だ。これは以前からノエルさんがお願いしてたことが実現した形だ。これがある程度進めば、今度は逆にセレナがノエルさんから魔法を教えてもらうらしい。
もう1つは、クリスさんとイースさんによる訓練だ。単純に矛と盾による戦いなんだが、かなり見応えのあるものになっている。どんどん腕を上げるクリスさんの剣を、イースさんは剣と盾で受け切っているのだ。王家に仕えるだけあってその技術はかなりのものなんだろうな。
そんな中、
俺たちは初日から野営することになるのだが、アイテムボックスから家を出すところから、イースさんはただひたすら呆然としていた。フィリア王女もエリシオンの2人ももう驚きもしなくなった。
慣れって怖いねー笑
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