【160万PV突破!!】異世界テイスト

第164話 理由

「あれ？ ここに来ればシーマに会えると思ってたんだけど、フィリア王女にも会えるとは都合がいいわ!!」

食事を終えて片付けをしてたら、ヒーラにアイゼンの幻陽が3人で現れた。

「あら？ 私に何か用だったかしら？」

「今度、シーマ達と食事会するんだけど、3日後くらいでどうかなーと思ってさ。フィリア王女もシーマの料理楽しみにしてたろ？」

「まぁ、楽しみにはしてたし、もちろん何があっても行くけど…。今食べさせてもらったばかりなのよねー笑」

あー。

フィリア王女がアイゼンの幻陽に対してマウント取りにいってるわー。

大人気ないな笑

「くっそー。シーマの宿に食べに来るという手があったとはな…」

「しかも、初めて作ったブラックバードの料理よ。とても美味しかったわ」

「ガッデム!!」

いやいやオルテガさん、ガッデムじゃないよ笑

悔しがってくれて嬉しいけどさ。

「大丈夫ですよ。たくさん作ってあるから、食事会の時も出せますよ」

「「「よし!!」」」

「あっ、そうだ。ちょうどいいや。フォルティスさん、食材入りのアイテムバッグ持ってきてます？」

「おう、もちろんあるぞ!!」

「出来る時に作り込みをしたいんで、食事会に使う食材を置いてってもらってもいいですか？」

「いっぱいあるけどいいのか？」

「全然大丈夫です。じゃんじゃん置いてって下さい」

フォルティスさんはいろんな肉をテーブルの上にどんどん置いていき、積みきれなくなった頃を見計らって俺が声をかける。

「すみません。俺、アイゼンの幻陽の3人に謝らなければならないことがあります」

「何だ、急に」

「俺がこれからすることをよく見てて下さい」

俺はそう言って、ダミーのバッグも持たずにテーブルの上の食材を一気にアイテムボックスへと収納してみせた。

「「!!」」

「…お前まさかそれ、アイテムボックスか？」

「そうです。そのまさかです」

「…何故、今まで黙ってた？」

「いつかは言うつもりでしたが、今まで言ってもいいような時が無かったんです。騙すようなことをして、本当にすみませんでした」

「他ならぬアイテムボックスだからな、下手に言いふらしたりしたら自分の身が危ない。俺たちだってお前を利用しようとしてたかもしれないんだ。しょうがないといえばしょうがないよな」

「…」

「もう1つ聞くが、今この場で明かした理由があるのか？

ここにはフィリア王女もいるしイルマばあさんもいる…ってことはもしかして、もうこの2人は知ってるってことか？」

「ええ、その通りですが…」

「シーマさん、ここからは私が説明するわ」

おっ!!

いいタイミングでフィリア王女が出てきてくれた。

後は任せた!!

「シーマさんのアイテムボックスのことは、既に国王はもちろん、王妃もご存知よ」

「それはそれでヤバくねぇか？」

「そうね。でもそれは、シーマさんが私のためにアイテムボックスを使ってくれた所為なのよ。だから、まだ非公式だけど私はディオランサの後ろ盾になることにしたの。王家とて私の許可なしにはシーマさんのアイテムボックスを利用出来なくなるわ」

「なるほどな。そういうことか…。ある意味それが一番いいやり方かもしれないな。

疑っちまって悪かったな、シーマ」

「いいえ。元々隠してたのは自分ですから。謝らなければならないのはこちらのほうです。恩を仇で返してるようなものですから…」

「だな!!笑 まぁそう思うんだったら食事会で美味いもん作ってくれ。それで手打ちにしようぜ。いいな？」

「わかりました。3日後を楽しみにしてて下さい」

「おう。楽しみにしてるぜ!!」

そう言って満足したのか、フォルティスさんはエテルナさんとオルテガさんと共に帰っていった。

「フィリア王女、助けていただきありがとうございました」

「後ろ盾として当然のことをしただけよ。気にすることはないわ…。

でも、どうしてもというならお嫁さんになってあげてもいいわよ？」

「なんか、違う話になってないですか？」

「バレたか!!笑」

全く…。

油断も隙もあったもんじゃないな…。