第154話 シーマのシチュー
「シーマのシチューなんて初めてだね、シェリル?」
「そうだね。もっともセレナが初めてなら私も初めてなんだけど...」
「あっ、そっかー。でも、シーマが作ったシチューだし、この匂いだし、楽しみだよねー」
「そうそう、それそれ。早く食べよ!!」
「ん〜!! 何ともこれは、初めて食べるシチューの味だねー!!」
「「...」」
嫁ズが喋ってる間に、いつの間にかイルマさんがひと足先にシチューを口にしたようで、先を越された嫁ズは口をあんぐりして驚いている。
だんだんこの流れが定番化しつつあるな。
本音を言えば、あんまりガッついて欲しくないけど苦笑
「イルマさんの口には合いませんか?」
「いや、そういうのじゃない。美味しいのは美味しいんだよ。だけど、ハッキリと何かが違うんだよ。
ほら、セレナもシェリルも早く食べな!!」
「...じゃあ食べようか、シェリル?」
「...そうだね、セレナ」
イルマさんに促されて、ようやく嫁ズもシチューを口に運ぶ。
「ん〜!!」
「美味しい!!」
「そうだろ?」
「「「...」」」
いやいやイルマさん。あなたは何一つ作ってないですからねー。
それでも、みんな美味しいと言ってくれてよかった。
「私が作ってもこの味にはならないね。もっとあっさりしちゃうんだけど、あんたどんな魔法を使ったんだい?」
「たぶん、これのことじゃないですかね?」
「これはブラックバードの骨かい?」
「そうですね」
「これをどう使ったら、あんなことになるんだい?」
「この骨をたくさん鍋に入れて煮込むんですよ。時間をかけて煮込むと骨から旨みが出てくるので、それをもとにをシチューを作るんです」
「…ブラックバードから使えるのは肉だけじゃないってことなんだね...」
「そうですね。捨てちゃうのももったいないですしね。まぁ、もっとも俺の場合は捨てるのが面倒だなってところから始まってますけど苦笑」
「それでもだよ。普通は使わないところをあえて使ってみようなんて思わないもんさ」
「俺の場合は少しでも料理が美味しくなるかもしれないのであれば、試してみる価値はあるのかなと思ってやってみてるだけですよ」
「…シーマ、薬草は料理に使えると思うかい?」
「使えなくはないと思いますけど...」
「けど何さ?」
「いや、これはやらされる流れだなって苦笑」
「よく分かってるじゃないか!!笑」
「「笑」」
セレナもシェリルも笑ってるけど、何かを頼まれるといろいろと面倒なんだよ?
しかもイルマさんだし!!苦笑
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