第114話 幕間 お泊まり会(シェリル視点)



ついこの間までは、ボクの同世代の友達といったらアイラしかいなかったのに、今では婚約者のシーマはもちろん、同じ奥さんであるセレナがいる。そして、今日から仲良くなれそうなのがフィリア王女だもんね…。


シーマと出会ってから、ボクの人生は本当に変わってしまった。婚約はするわ、大人の女にされちゃうわでとにかく幸せ過ぎる。




「2人とも幸せそうでいいわね…」



寝る準備を終えて3人でベッドに腰掛けていたら、突然フィリア王女が呟いた。



「それは、まぁ…幸せですけど❤ ねぇセレナ?」


「そうね。確かに幸せよね❤」


「奥さん2人にそう思わせるってなかなかよね。ウチのトコとは大違いね」



フィリア王女の家族といえば王家だ。

確かにいろいろと大変なんだとは思うが、ちょっと言い方が気になったのでボクが質問してみる。



「王家ともなるとそんなに違うものなんですか?」


「政治的な絡みも嫌という程あるし、私の母は第三王妃だもの。母も私もお飾りみたいなものだから、愛なんてあるのかないのか…」


「フィリア王女様も婚約者はいらっしゃるんですよね。その方ではダメなんですか?」



フィリア王女の答えに対して、今度はセレナが問いかけた。



「ダメっていうことではないけど、王女としての私しか見てくれてないような気がしてね…。それが悪いわけじゃないけど、素の私を見てほしいって思っちゃうの。これって変?」


「ううん。至って普通のことですよ。ボクだって一応大きな商会の娘ですけど、シーマはそんなことを抜きにして、こんなボクでも1人の商人として、1人の女性として見てくれたんですから…」


「…その婚約者の方だって、きっと何かのきっかけでフィリア王女様のことをちゃんと見てくれるようになりますよ」



ボクの言葉をセレナが上手く繋げてくれた。こういう時は同士の存在がいることでホントに助かる。



「そうかしら?」


「例えば、今回の事がどんな風に伝わるのかわかりませんが、本当のことを知ったらフィリア王女様の身を心配してくれると思います」


「そうね。シェリルさんの言う通りかもしれないわね。その辺についてはちょっとどんな反応をするのか楽しみにしておくにする。

シェリルさん、それにセレナさんもありがとう!」


「いえいえ、ボクたちは話を聞くことくらいしか出来ませんし…ねぇセレナ?」


「そうそう。とても辛いことがあった後ですし、せめて王都に戻るまでの間くらいは同世代の私たちが支えますよ」


「助けてもらったことはもちろんだけど、このタイミングで2人に会えてよかった…。

そうだ!

せっかく同世代なんだし公の場でもないんだから、これからは硬っ苦しいのは無しで、これからはフィリアって呼んでよ!」


「「いや、さすがにそれは…」」


「じゃあ、この3人でいる時だけでもいいから!」


「それならいい…のかな、シェリル?」


「うーん。どうかなー。シーマに聞いてみようか?」


「あんたたち、どんだけシーマが好きなのよ…。

私がいいって言ってるんだからいいの! セレナもシェリルもわかった?」


「「わかった…よ、フィリア…」」



何だか流れで、フィリア王女を呼び捨てしなきゃいけないようになっちゃったなー。

仲良くなれたと思えばいいことなのかなー。




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