第301話 反旗



あっ、そうか。

俺が倒れた時だから、シェリルよりも前にエルピスに会ってることになるのか…。

よく覚えてるなー。



「いや、エルピス様は人間ではないですよね? それはさすがに無理があるかと…」


「ボクよりも前に会ってるかもしれないけど、ボクたちと一緒に過ごしたわけじゃないから、それは認めたくない」


「いくらエルピス様でもそれは横暴かと思いますし、またしても順番を抜かれるのは正直気に入らないです」


「エルピス様の結婚云々は、ご自身の身体を用意してからの話じゃないでしょうか」



おぉー。

みんな怯まずに女神に向かって楯突いてるよ。

頼もしいな笑



「…だそうだよエルピス。本格的に下野してからの話になるな」



( ¬_¬ )チッ



オイオイ。

絶世の美女でみんなの憧れの女神エルピスが舌打ちしたらアカンって。



「さっきはスルーされたけど、そもそも神様が結婚なんて出来るの?」


「こっちを誰かに任せてしまえばどうにでもなるでしょう」


「「「「…」」」」


かなりテキトーなプランだな。

でも、もし後任に戦闘狂な神様が来たら戦争だらけになるんじゃないのか?

それだけは避けて欲しいな…。

まだ死にたくないし。



「まぁ、後任の神様にきっちりと引き継いで、平和にしてくれるなら下野しても構わないと思う。急がないでゆっくりやってくれていいよ」


「もう嫁が増えないのならそれでもいいんですけどね。増やさない自信はありますか?」


「だ、大丈夫…だよ」



…。




「そろそろいい加減にしなさいよ」


「あーダメだね、これは」


「どれだけ増やせば気が済むのよ…」


「絶倫❤」



おい、クラリス !!

どさくさに紛れて何言ってんの!!

そりゃ、そういうことは嫌いじゃないよ。

むしろ好きだよ。

大好きだな。

それじゃ、やっぱり絶倫か笑



「…というわけで、嫁が今後増える可能性は少ないんじゃないかな」


「あっ、逃げた」


「逃げたね」


「可能性がないわけじゃないのね」


「私を愛してくれる時間が減らなければ別に…」



どうもさっきからクラリスだけがちょっとズレてる感あるな笑



「全くしょうがないですね。とりあえずは約束通りクラリスに週1日身体を借りることでよしとしておきますよ」


「我儘言いたい放題なのに、何がしょうがないんだよ…」



エルピスに振り回されてるよなー。

軌道修正したいとこだけど、相手は神様だから無理なんだろうな…。

その点、嫁ズ&王聖女はしっかりと反発してたから大したもんだ。




「ちょっと確認なんですけど、シーマさんとの結婚はフィリアの後になるにしても、婚約はすぐにでも出来るんですよね?」


「「…」」


「えぇ、もちろん。むしろすぐにでも婚約していただかないと私が困ります」


「エルピスには聞いてないと思うぞー」



( ¬_¬ )チッ



だからさ、女神が舌打ちするのはヤメテくれ。



「フィリア王女はそれでいいか?」


「うぐぐっ…いい…です…」



フィリア王女、歯ぎしりのし過ぎでそのうち歯が無くなっちゃうんじゃないか?



「クラリスは俺でいいのか?」


「もちろん!! ただ…」


「ただ?」


「…あとで2人きりの時間が欲しいです」


「「「「!!」」」」


「わかった。フィデールではルート商会の会長にも会わないといけないから、その後でもいいか?」


「はい❤」


「「「…」」」





「クラリス、私との約束は絶対に忘れないようにね!!」




最後にエルピスが叫ぶようにして、クラリスに訴えかけていた。

そんなに必死にならんでも…。







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