第277話 エクストラ(クラリス視点)
これだけの魔力があればアレが使える。
ルミナス、準備はいい?
『えへへー、大丈夫ー。ハハハ...』
えっ?!
どうしたの、ルミナス?
『シーマに魔力をかなりの勢いでガンガンもらってたら少し酔っちゃったのかも...へへ』
もう...。
神の声なんだからしっかりしてよね...。
それで、本当に大丈夫なの?
『うん。シーマとクラリスの魔力がいい感じで同調してるから大丈夫!!』
わかった。
その言葉、信じる。
それじゃ行くよ...。
「エクストラヒール!!」
私は最上級の光魔法を、リンダさんめがけて放った。
ん?
何だか前と違くない?
『シーマの魔力があるからだよ。クラリスの魔力とは質が違うから』
聖女でありながら、消費する魔力があまりに多いのでこれまでに数回しか使えなかったエクストラヒール。
ルミナスから放たれたそれは、魔力の塊となってリンダさんを包み込んでいるんだけど、2つの層が重なってるように見える。まるで私の足りなかった魔力をシーマさんが補ってくれてるように、とても優しく重なっている。
初めて目の当たりにしたその光景に見惚れていると、魔法はリンダさんに吸い込まれるようにして消えた。
「あら? 急に随分と身体が楽になったわ...」
「シーマさん、どう? 私上手くやれたの?」
リンダさんから反応があったので、私はすぐにシーマさんへ確認した。鑑定でリンダさんを見てもらうためだ。
「クラリスよく頑張ったな。リンダさんから病気が消えてるよ。もう大丈夫だ」
「!!」
「クラリスちゃん、ありがとう。あなたのおかげよ」
うっ...
「ゔぇーーーーーん!!」
私は感極まって、横になっているリンダさんにしがみついて泣いてしまった。
「あらあら、クラリスちゃんったら、また泣いてるの?」
だって...。
だって、嬉しいから...。
「やっぱりクラリスはスゴいわね。私はエクストラヒールどころかハイヒールも使えない。聖女になっただけのことはあるわ...」
「そうだなセレナ...俺たちはちょっと席を外さないか?」
「それもそうね。とても感動しちゃったからシェリルにも話したい」
「それじゃクラリス、何かあったら呼んでくれ」
そう言い残して、シーマさんとセレナはリンダさんの部屋を出ていった。
まだ号泣している私にとっては有り難い配慮だった。
こんな情けない姿を見られたくないしね。
「ほら、クラリスちゃん。そろそろ泣き止まないと。可愛いお顔が腫れぼったくなるわよ笑」
「でも...。ひっくひっく」
「まぁいいわ。そのまま聞いてちょうだい」
「...?」
「クラリスちゃんは前から良い子ではあったけど、聖女という肩書きが邪魔してずっと孤独で可哀想だった。でも、今はそうは見えないわ。信頼し合える人達がいるからでしょ。それはとっても大切なことよ? いい仲間に出会えてよかったわね」
うっ...
「ゔぇーーーーーん!!」
「あらあら、また泣いちゃって...ふふふ」
リンダさんが泣かせてるんじゃん!!
ひっくひっく...。
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