第6章 帝国編
第299話 勢揃い
俺たちは思わぬところで魔物による足止めを食らったものの、ほぼ予定通りにフィデールへと到着した。
まずは最初の目的である教会に行くことになるのだが、エルピスのこともあるし、どうなるのかもわからないので、クリスさんとノエルさんには別行動をお願いした。幸い2人にはフィデールで行っておきたいところがあるらしい。イースさんもそれに付いて行くらしくということで、これもちょうど良かった。
「最近、知らない街ばかりに行ってたから、見慣れた街に来ると安心するわね」
「セレナにとってはそうかもしれないね。ボクは逆に知らない街のほうが、何があるのか楽しみでしょうがないよ笑」
「あっ、そうか。シェリルは商人だもんね。そりゃそうよね笑」
セレナとシェリルがほのぼのした会話をしていた。
俺はどっちなんだろう…。
うーん。
新たな食材に出会える可能性があるから、シェリル派になるのかな?
もっともセレナの気持ちも分かるけどね。
「クラリスはオルティア自体が初めてなんだよね?」
「そうね。もうエピリシアには戻るつもりはないわ。シーマさんと結婚してオルティアに骨を埋めるつもりよ。よろしくね、王女様?」
「王女の立場として聖女がオルティアに来てくれるのは大歓迎よ。でもね、1人の女としては私よりも先にシーマさんとの結婚を許すわけにはいかないわ」
「でも、フィリアは立場的にそう簡単には結婚出来ないんでしょ? ふふふっ」
「ぐぬぬぅ」
「「…」」
あーぁ、フィリア王女とクラリスのいつもの意地の張り合いがまた始まってしまった。
最近、何かっていうとこうなる。
でも、エルピスのお告げがあったら、2人の心境にも変化があるんじゃないかと思っている。
お告げの内容にもよるけど、仮にも女神様だ自分の欲望を優先するなんてことはないだろう。
…ないよな?
そういえば、エルピスは俺たちがフィデールに着き次第、エピリシアにお告げをするって言ってたな。
今頃、エピリシアはどうなってるんだろうな…。
まぁ、知ったこっちゃないが笑
その後、教会に着いた俺たちは当然のように礼拝堂へ行き、祈りを捧げたのだが…。
「皆様、ようこそいらっしゃいました」
「「「「「えっ?!」」」」」
いつもの白い空間には俺とエルピスの他に、嫁ズと王聖女がいた。つまりは勢揃いというわけだ。
マジか。
みんなはかなり驚いてるが、クラリスは2度目ということもあってそれほどでもないようだ。
参ったな…。
まぁ、いろいろと説明する手間が省けるか…。
「私がエルピスです。いつも祈りを捧げてくれてありがとうございます」
「まさか…」
「そんな…」
「キレイ…」
いつもの馴れ馴れしい?態度ではなく、女神らしく上品な態度でエルピスがみんなに語りかけたのだが、みんなはみんなで突然の女神登場にそれどころではないようだ。
「シーマくん、この前お話ししたように、先程エピリシアにはお告げとして、今後聖女を認めないことを伝えて、勝手に聖女候補とされていたエデナさんのスキルを全て剥奪しましたよ」
「ありがとう。でも、エピリシアはそれで大丈夫なの?」
「クラリスを酷い目にあわせたんですから当然の報いです。かなり混乱しているようですが、そんなの知ったことではありませんよ。それよりもフィリア王女?」
「は、はい!! あのエルピス様が私の名前を呼んでくれた…」
「私が勝手なことをしちゃったけどクラリスのこと、オルティアでどうかお願いします」
「も、もちろんです!! クラリスは元々私の友人ですし、エルピス様からの依頼とあってエピリシアから救い出したんです。オルティアで守ってみせます」
「ありがとう。これからもよろしくね」
「は、はい!!」
うーん。女神が目の前にいるってことで、フィリア王女も完全に舞い上がっちゃってるなー。
きっと誰でもそうなるに違いないし、無理もないか…。
「それでは皆さんここからが本題です」
「「「…」」」
「私、今後は下野してシーマくんと結婚します」
「「「「「はぁ?!」」」」」
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