第152話 巻き込まれた人です――が。◆
ピッピッピッ……。
ピポンピポンピポン……。
いろいろ電子音が響く部屋。
また独特な薬品のにおいもしている。
さてさてここはどこでしょうか――とか言う問題を出すまでもなく。
ここは悠宇たちの住む町にあるそこそこ大きな病院の救急センター。
決して何かの実験。どっかの変態チート爺――とかとか言われていそうな老人が何かまたしている――とか言うのではないので安心してほしい。
まあ――安心。は、できない状況だが。
現在この病院の救急センターには救急車が1台到着して、茶髪のボサボサ頭の男性が運び込まれたところである。
この茶髪のボサボサ頭の男性が救急車で運ばれた理由は、交通事故である。
詳細は今のところまだ不明だが。交差点を歩いていた?または立ち止まっていた?男性のところに前方不注意。そしてスピード違反のトラックが突っ込んだというものだった。
ちなみに第一報の通報者は何故か不明。その後数件の通報があったがこちらはちゃんと確認が取れている。なお、第一通報者はトラックの運転手ではないかと、思われているらしいが――らしいというのは、トラックの運転手――現在行方不明となっている。警察が行方を追っているところである。
なお、事故があったことは事実――と、思われる。
何者かの第1報により。救急隊が現場に駆け付けると。事故現場と思われる交差点近くの道路上には、数人の事故現場の様子を見ている人の姿と――そこから少し離れたところに跳ね飛ばされたのだろう。道路にぐったりと横たわる茶髪のボサボサ頭の男性。
交差点から少し行ったところにはガードレールに擦る。ぶつかるように止まっていたトラック。正面部分。フロントガラスなどにはガードレールの高さとは違う。そこそこ派手な衝撃で何かにぶつかった跡があった。
なので事故があったことは確かで、現在警察が捜査中なのだが――。
トラックに轢かれた茶髪のボサボサ頭の男性を診ることになった救急センターの方では、男性が運ばれてくるなり。
「「「……うーん」」」
担当の医師。看護師らが状況がわからず唸っていた。
なお、少し前までは男性を運んできた救急隊の人も唸っていたりする。
何故病院でそんなことが起きているのか。
理由は――茶髪のボサボサ頭の男性である。
現在ストレッチャーに乗っている男性。
しかし、特に何か治療しているわけではない。もちろん運ばれてすぐに各種検査はしている――しているのだが。そのあとは何も治療はされていない。
一応集中治療室にはいるのだが……。
「――彼本当に交通事故にあったんでしょうか?」
「――うーん」
すると、ストレッチャーに横になっている男性を診つつ看護師の1人がつぶやいた。
医師、看護師の見る視線の先。
そこには茶髪のボサボサ頭の人間が横になっている。なお意識はない。
しかし、外傷が全くない。一応各種検査をしているので、何か問題が――とも思われたが。何もなし。いたって健康。擦り傷すらない。単に意識がないだけ。でも呼吸はしっかり自分でしている。まるで――寝ているような状況。
これは本当に交通事故にあった人間なのか。現状誰もわからず。とりあえず身元は分かっているので、家族に連絡ということになったのだが――。
この不思議な患者。しばらく病院のベットを占領することとなるのだった。
「――」
もしかすると、本当に寝ているだけ――にも見えなくないが。それは誰にも分らない。
とりあえず経過観察である。
★
まあ、実を言うと、茶髪のボサボサ頭の男性の意識は今別世界だったりするが――そんなの気が付ける人間今のところこの世界にはいない。
というか、とっとと言ってしまうと。どっかの変態チート爺とかとか言われていそうな爺に巻き込まれている為。意識がないのだが――その爺がちょっと設定をする際に風邪をひきかけていた(すっぽんぽんで作業をしていた)――ということもあり。いろいろ設定に不備があり。向こうの世界でも時間軸が少しずれたりいろいろ問題が起こっているのだが……何度でも言うが。現状何かできるわけではない。
★
さてさて、この男性。獅子はどうなるのか――って、まあそのうち向こうで、合流するのだが。その合流がちょっとややこしいことになったりもするが。
それはまだ今ではない。
獅子。しばらく眠りにつくのだった。
「――」
……ベッドで眠る彼の表情が何故かにやけているように見えるのは――多分、気のせいだと思いたい――思いたい。
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