第128話 一応そのあとは―― ◆

「――おいおい俺の――ぬわっ!?」


 美少女まであと少しだった。

 もう少しで美少女との接点が生まれ。

 俺の青春物語が始まろうとしたのだが――何が起こったのか。

 気が付けば俺は美少女ではなく。男共にタックルする形になっていた。仕方ない。ふいに意想外の方向から衝撃があったからだ。

 そして、それはそれは、完璧と誰かが言っていそうなくらい見事なまでに男共。正確に言えば2人を突き飛ばす形で押し倒した。


 ラグビーとかならヒーロー級の扱い?ルールとか全く知らないけど。でも完璧に男2人をノックアウト――あれ?ラグビーでノックアウトとかあるのか?ない?ある?まあいい。とにかく俺は完璧に男2人を押し倒した――って、そうか。これはこれで美少女を守った形では?そうだよな?ということは――。


 多分男の上に乗っかっている俺だが――超高速で頭を回転させる。

 今男共の一部をぶっ飛ばした。俺の下に居る。

 なら――相手が減っている今こそ美少女の腕を掴み一緒に逃走――。


 イメージはできた。


「よし!」


 茶髪のボサボサ頭の男。獅子は起き上がるとすぐに美少女が居た方向を見る。

 しかし――。


「あれ?」


 時すでに遅し。


 獅子の前から美少女の姿はなくなっていた。

 ふと。視線の端に誰かが美少女を引っ張っているように見えなくもなかったが――男共にタックル。ともにズッコケ状態だった獅子は少し視線がぼやけ――今元通り。

 すっきり――って、暗いから遠くは見ないが。などと思っていると。


「おい」

「お前何してくれるんだよ」

「――おっとー。やばいねー」


 獅子。男共に囲まれた。

 多分この場でボコボコにされることはないだろう――コンビニの前で人目があるのと。獅子が男2人にタックルしたため。少し周りの視線がなくもない。という状況だからだ。

 なので獅子はそこまで慌てていなかったが。

 明らかに絡まれると面倒な雰囲気の男共に囲まれている。


「ああ、やばいな。お前が」


 実際そうだ。

 今の現状男共に囲まれている獅子がやばい。マジでやばい。

 だが。獅子ちゃんと周りは見えていた。


「――じゃ!俺美少女ちゃん追いかけるんで!」


 男共の隙間。少しだけあった隙間にさっと身体を移動。そしてささっと。男共から距離を取った。


「待て!」

「追いかけろ!」

「待ちやがれ!ただじゃおかねぇ!」


 獅子はすぐにコンビニの前から走り出した。

 とにかくまっすぐ走った。

 そしてまっすぐ走ったからだろう。

 獅子が突き飛ばした男共と――獅子には突き飛ばされなかったが。その場にいた男にはしばらく獅子は追いかけらえることになるのだった。


「くそっ。なんで美少女ちゃんとの出会いが男共との出会いになってんだよ!ってか誰だよ!俺を蹴とばしたの!」


 それは悠宇である。


 が。この時の獅子は知らない事だ。 

 まあこの後数十分後知ることになるのだが――それは今ではない。


「待てぇ!」


 暗闇の追いかけっこは男共がへばるまで少しの間続くのだった。

 そう、獅子。普通に逃げ切るのだった。

 そして悠宇と――美少女。シェアトと出会うまであと少しだったりする。


「よーし。逃げ切った。って、神社の方まで一応戻って来たか。美少女ちゃんと接触できなかっ――うん?なんでこんな時間に――人?」


 男共と少しの間追いかけっこをした獅子。

 気が付くと神社近くまで戻って来ており――その際。ふと神社内に2つの影があることに気が付くのだった。

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