第171話 昔昔あるところに――転生者10 ◆

 召喚した成人女性――というべきなのだろうか?とにかくこの世界では実体のないものを無理やり実体化させ。そして散々めちゃくちゃにしたあと。わがままエロガキ転生者は本当に久しぶりに外に出た。

 ここしばらくはずっと地下に籠っていた。一度も外の空気を吸わずに精霊の実体化を行っていた。ホント誰か一人でもそばに居れば、その力。能力を別のことに使い。もっと別の人生もあっただろうに――とりあえず久しぶりに外へと出たわがままエロガキ転生者だったが――それがわがままエロガキ転生者の最期となった。


 何があったかというと――わがままエロガキ転生者がサラッと出てきた場所はこの時戦いの真っただ中だった。

 何の戦いかというと。それはもちろん。ルイ・ノグモが消えた世界。次の魔王になろうとする者たちが戦いをしていたのだ。なのでこの時のエーテル域の特にヒメルヴアールハイト周辺は激戦地となっていた。

 しかし、わがままエロガキ転生者そんなことは知らない。そして、満足したわがままエロガキ転生者はとあることをすっかり忘れていた。地下室以外が自分の作った守りの空間ではないことを――。

 そのため、普通に外に出たわがままエロガキ転生者。一応補足しておくと、何も身に着けることなく外へと出た。悠宇たちの住む世界だったならばお巡りさん案件となるだろうがここは別世界。そして――戦いの真っただ中。

 さすがに強靭なルイ・ノグモの身体を持っているわがままエロガキ転生者でも、無防備な状態でさらに外に出るなり攻撃が来るなどと夢にも思っていなかったため。何も防ぐ術はなかった。

 わがままエロガキ転生者は本当に戦いの真っただ中。攻撃と攻撃がぶつかるようなところ。さらに何かがたまたま大爆発したらしく。それをももろに受けることになる。

 ドガーン!と、爆音がするとともにあたりは熱と爆風。戦いをしていた者はまさかいきなり地下から誰か出てきた。などということはこちらも夢にも思っていなかっただろう。だから姿すら見た者もいなかった。

 しかし実際には、わがままエロガキ転生者。ルイ・ノグモの身体を持った元と言うべきかもしれないが。魔王が居たのだった。誰も知らないことだが――。

 いきなりのことで、なんの言葉も発することなくわがままエロガキ転生者の人生は終わった。これは本人しかわからないが。本人も死んだことを理解する暇もなく死んだと思われる。かなり強力な攻撃をもろに受けたこともあり跡形も残らずわがままエロガキ転生者は消えた。

 彼が今後どこかの世界にまた出てくることは――もうないだろう。


 ここにルイ・ノグモの人生。身体も完全に終わったことを告げる。

 乗っ取った者は途中から乗っ取られ。結果としては――最期は何も残らなかった昔昔の魔王だった。そして最期にちょっといろいろあったからか。一時は最強とも言われたルイ・ノグモの名は後世にはほとんど残らないのだった――。

 

 ……何も残らなかったわけではないが――。

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