第167話 昔昔あるところに――転生者6 ◆

 ヒメルヴアールハイトの魔王城に籠り。というか、わがままエロガキ転生者が魔王城に引き籠っている間に周りでは新たな魔王を――という流れが強くなっていたのだが。そんな事には全く気が付くこともなく。

 わがままエロガキ転生者が何をやってるいるのか。それは実体しないものを実体化させようとしていた。

 はっきり言ってめちゃくちゃなことをしていた。

 精霊とは形ないもの。しかし存在はしているはずと思ったわがままエロガキ転生者は何とかして実体化できないかと研究した。というかこのわがままエロガキ転生者にそんな能力。やる気があるのか?と、思われるかもしれないが。身体はルイ・ノグモのもの。そしてやる気は――単に今のところ自分が思い描く絶世の美女求めて三千里ーである。食事すらしなくともというかもともとそれに関してはルイ・ノグモの能力的なところから少しくらいの無理は普通にできた。

 そしてルイ・ノグモといえば乗り移りも成功しているような人物。というか乗り移りに関しても記録を残していないが。自身の身体の中にはもちろん記憶としてあった。そしてそれを知ることができる唯一の人物というのが――わがままエロガキ転生者という……誰かがそばに居れば頼むから失敗してくれなどと思っただろうが――。

 こういう時のわがままエロガキ転生者。頭が無駄に冴えまくっていた。


「つまりは目には見えないが――存在はどこかにはあるはず。小さなものでもそれを集めれば大きなものになる――いや、待てよ。もっと簡単に――いや、でも妥協したらかわい子ちゃんが出てこない――ここは死に物狂いで――死に物狂いで――ものぐるい……?って、違う。かわいい子を呼び出すには――」


 1人でぶつぶつ言いながら今まで。自分がこの世界に転生してきてからはまともにしていなかったことをいきなりやりだすわがままエロガキ転生者。

 実はわがままエロガキ転生者がこんなことをしている間に実はヒメルヴアールハイトの魔王城に攻撃。遂にバラバラになった魔族たちの一部がルイ・ノグモを倒しにやって来たのだが。


「今はかわいい子呼び出そうとしてんだから邪魔すんな!」


 ――わがままエロガキ転生者。こういう時はホント迅速に動いた。

 普通なら攻撃を目の当たりにして焦りそうなところだった。今のわがままエロガキ転生者はそれどころではなかった。邪魔をされたくなかった。なので自分の力を使い。ささっと攻撃から耐えられるように地下室まで作ってしまい――それもそこそこ深く。敵の本体が乗り込んでくるころには、ほとんど外の音など聞こえない地下室に引き籠るわがままエロガキ転生者だった。

 ちなみにわがままエロガキ転生者の作った地下室はかなり頑丈。さらに敵に気が付かれないように各種徹底して作ったため。敵は全く気が付くことがなかった。

 わがままエロガキ転生者がかわいい子を呼び出す――などしている間にヒメルヴアールハイトの魔王はボロボロとなった。しかしルイ・ノグモは見つからず――ということが起きていたのだが――もちろんわがままエロガキ転生者そんな事全く知らずである。 

 そして地上では新しくルイ・ノグモが力を得る前にあった魔王城があったところで新しく――と、事が進みだしたころだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る