第168話 昔昔あるところに――転生者7 ◆
「――これ――できたんじゃね?」
長きにわたり地下室にこもっていたルイ・ノグモはもう本当に誰かわからないような状態となっていたが。そんなことはどうでもよかった。
気が付けば地下室は元は穴を掘っただけ――だったのがしっかり石などで補強された部屋に変わっており。何やらこの世界の物ではないものまで作られていたのだが――それはルイ・ノグモの身体と、この中途半端に一部だけ記憶を持っていたわがままエロガキ転生者の両者の力?によって生まれたものだった。
わがままエロガキ転生者が作ったのはカプセルだった。
それは昔の記憶を参考にこの世界では見たことがないものだった。
何故そんなものを作ったかというと、とりあえず精霊は目に見えないが――いるのは確か。なら――ぎゅっと濃縮できないか?目には見えないが、いると、思わせるその雰囲気。空気ではないが。精霊の要素?的なものを集められないか――と、考えたのだが。そんなことができるわけない――だったのだが。こういう時の転生者。無駄な能力。隠し能力を持っていたりする。
本人は特に気が付いていなかったが。実はこのわがままエロガキ転生者。思い描いたものを実現させる力があった。だから集中しだせば地下室もあっさり作り。そして、完璧な防御空間もあっさり。さらにはなんの知識もなかったのに雰囲気だけで、カプセルをこちらは実在しないはずの材料などを生み出してまで作れてしまうのだった。
そして本来は精霊は見えないもの――けれどわがままエロガキ転生者がいろいろ思い描いてしまった結果――。
「よし。これであとは――起動させればいいんだな。って、もし成功しちまったら。混乱して暴れられるかもだし。対策しないとか。そうだな。ここからは絶対に何があっても出られないようにするだろ。っか、ちょっと待てよ。せっかく成功した場合でも。馬鹿の相手はしたくないから――集めると同時に知能を植え付けるとかできないのか?精霊なんてふわふわしているだけかもだからな。俺くらいには賢くないとな。あー、でも馬鹿なのもいいか。やりたい放題になるし。まあ適当にガキくらいの能力は植え付けてくれよ。あっ、あと、願ったら金を出せる力とか持ってないかね。そろそろ金なくなったんだよな。ってかとりあえず起動だな」
わがままエロガキ転生者がついになんかやりだしてしまった。
わがままエロガキ転生者の目の前には自分より少し小さめのカプセルがある。中には水のような液体が入っており。今はその水のような液体だけがある。そしてカプセルからは何やらいろいろなケーブルなどが出ている。何が起こるのかはもう誰にも分らない――。
「精霊のかわいい子ちゃん――カモン!」
すると、なんの迷いもなくわがままエロガキ転生者が装置を起動させた――なお、起動させてすぐに何か起こると思っていたようだが――。
「………………なんも起こらねーじゃん!」
起動させてすぐには何も起こらずわがままエロガキ転生者は失敗と思った。そして『くそっ!』と、言いながらカプセルを蹴とばし。その場に寝転んだ。
実はわがままエロガキ転生者。必要最低限の休息。食事しかせずにこの研究?らしきものをしていたため。寝転ぶとほぼ同時にわがままエロガキ転生者しばし長めの睡眠をとるのだった。
そしてわがままエロガキ転生者が寝ている間にカプセル内では何やら小さな光がふわふわと――カプセルから繋がっているケーブルから出てきていた。
実はこのカプセル大地と繋がっているというそれはそれはとんでもない装置だったりする。
このわがままエロガキ転生者集中させたらすごかったのだ。
まあそんな彼の功績は全く後世に残ることはないのだが――。
ルイ・ノグモの身体を得たわがままエロガキ転生者の最期までもうすぐそこ。
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