第166話 昔昔あるところに――転生者5 ◆

 とある町で、隣国にはかわいい子がいるという話をたまたま聞いてしまったわがままエロガキ転生者はあれから休むことなく。かわいい子を求めて三千里――ではないが。長距離を移動し。久しぶりに廃れたヒメルヴアールハイトの魔王城に戻って来ていた。

 ヒメルヴアールハイトの魔王城は立地的にエーテル域とマナ域。そしてごく一部だが普通域と言われる場所との境に近い場所。なのでこの場所にくればなんでも出来る。隣国に行くのも簡単と思ったわがままエロガキ転生者は戻って来たのだった。

 こういう時の行動だけは早かった。

 

 ちなみに、魔力を多く使う魔族たちは基本魔力のあるエーテル域が主な生活場所。マナ域。普通域にも魔力の素はあるのだが。エーテル域を最大とすると。マナ域で半分。普通域ではさらに半分とといった感じになる(正確なことはわかっていないが。昔からそういわれている事)ため。ルイ・ノグモもしっかり準備。魔力以外の力も手に入れていざ勢力拡大。という流れだったのだが。まあそれはわがままエロガキ転生者により崩れ去った過去のことだが。

 まあとにかく、各域で環境が違うため。3つの国が維持されていたということでもある。


 そして、そんな時というのか。現在。何故か世継ぎを必死に行っているわがままエロガキ転生者はなんの考えもなしに、少し前に聞いた情報。かわいい子ちゃんを探してマナ域へ――だったのだが。

 

「どこにいるかわかるわけねえじゃん!っか、この場所なんか嫌いだし。帰る!」


 すぐに音を上げていた。ルンルンで探しに行ったが。今までエーテル域から出たことのなかったわがままエロガキ転生者は情報が少なすぎ(ルイ・ノグモの記憶ではそんなかわい子ちゃんの居場所の記憶などない。記憶にあったのは各土地の事くらい)マナ域の人と会うこともなく音をあげ。そして、なんとなくマナ域の雰囲気が嫌いでそそくさとヒメルヴアールハイトの魔王城に戻ったのだった。

 ちなみにわがままエロガキ転生者は雰囲気が嫌いと言ったが。それは普通の人ならほとんど感じない事なのだが。このわがままエロガキ転生者。一応今のところまだ身体はルイ・ノグモというこの時最強の男の者。それもあって、普通の魔族とは違う。力が強すぎたため。環境の変化に敏感だったのだった。

 とまあそんな事気が付くわけがないわがままエロガキ転生者は、魔王城に戻るなり別のことを――と、思われたが。


「精霊とか絶対かわいいだろ」


 ――今回は全く諦めていなかった。というか先ほどよりやる気を出して何やら始めようとしていたのだった。

 わがままエロガキ転生者が始めようとしていたことは――。


「精霊は見えないとか言っていたが。でも居るんだろ?つまり――俺が思う精霊をイメージして、それを実体化しちまえばいいだけじゃね?そうじゃん。俺好みの女が作れるかもしれねえ」


 通常は絶対できない事。

 そもそも精霊とは姿かたちがないものとされているのだが――それを実体化してしまおうと考え出したのだった。

 さすがにそんなことは失敗に終わるだろうともしこの場に他に誰か居れば考えただろうが。

 現在のヒメルヴアールハイトの魔王城は、気が付けばわがままエロガキ転生者のみ。彼に何か言う者は誰も居らずそのままわがままエロガキ転生者は無駄に研究に励むこととなるのだった。

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