第161話 昔昔あるところに魔王が6 ◆
自身の命が終わっていたかもしれない危険な賭けに出たルイ・ノグモ。
普通なら――ルイ・ノグモの人生はこの日終わっていただろう。しかし現実は違った。ルイ・ノグモは生きている。
別人の身体の中で。
本来なら他の者が部屋へと駆け付けた後は、元のルイ・ノグモの身体は死後直後だったが。膨大な魔力を使ったために一気に朽ちた身体。おまけに新しい身体で力を使ったことにより。元のルイ・ノグモの身体は切り刻まれていた。それもあって誰もが夜中のうちに何者かが――という事になった。
父親の亡骸にしがみつ子が何かしたと思う者は1人もいない状況だった。
実際は自ら命を絶った際に膨大な魔力を使ったなどという理由があるのだが――この時は誰も知らない方法を使ったがゆえに、この時ルイ・ノグモの計画通りに事が進んだ。
また、この先の未来でもこのことに気が付けたのは――ほんの一部の人だけだった。
◆
混乱が続くルイ・ノグモの死後。周りは突然のことでそれはそれは混乱していた。ルイ・ノグモの妻が何とか対応をしている状況だったが。それも長くはもたないだろうという状況。
しかし、ルイ・ノグモの魂というのは、誰もわかっていないことだが。混乱する周りの人の近くにあった。
自分の子の身体の中に――。
この時はルイ・ノグモの計画通り。本人も少し計画通り過ぎ。予想外のトラブルもなかったことで、むしろちょっと怖いという気持ちがあったくらいだが。
一呼吸おいて、ルイ・ノグモは新しい身体で行動を開始した。
「――父の跡は僕しかいない!」
急に幼い子供がそんな宣言をまるで人が変わったかのような風格で言い出すので、この時はこの時で周りは相当驚かされたのだが――それは一時的なことだった。
周りからは父の死により。子が覚醒した。新たな魔王の誕生などと騒がれつつも新しいルイ・ノグモ。身体が小さくなっただけで中身は同じ人が――だったが。もちろんそんな事に気が付ける者はいなかった。妻ですら何も気が付かづ。突然夫のような風格を出し始めた子に驚きつつも。何も疑うことなく。すぐに対応していったのだった。
その後は滞りなく新しいルイ・ノグモの時代が始まった――のだが。ルイ・ノグモの計画は意外なところでもろくも壊れ去ることになった。
それは新、ルイ・ノグモが20歳になった時だった。
ここ十数年で今まで以上の勢力を持っていたルイ・ノグモ。乗り移った身体が幼すぎたこともあり。エーテル域全域を自分の物とするのに時間は要したが。それでも無事に計画は進んでいた。このままの勢いなら近々周辺の国を攻め込める。領土拡大も見えてきていたそんな時だった。
本人もまさか自分がある日突然。全く知らない別世界の人間に身体ごと乗っ取られるとは思いもしなかったことだろう。
新、ルイ・ノグモの時代は突然終わりを告げる――。
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